アパッチ・ウーマン・ウォリアー
最近テレビを見なくなった。というより、番組を選んで見るようになったといった方がいい。そうしたら見る番組があまりなくなってしまったのだ。よく見るのはケーブルのなかのディスカバリー・チャンネルぐらいかな。今日も今日とてザッピングをしていたら、DISCOVERY CHANNEL でたまたま『アパッチ戦士ローゼン』というプログラムに出くわして、1時間をともに過ごした。2004年に一度放映された「ディスカバリー・ウーマン 伝説の女性戦士」のシリーズのなかの一作だとか。
ローゼンというのは19世紀末に実在したアパッチ(ワーム・スプリングス・アパッチ・バンド)の女性戦士で、男性のように強くて、誰よりも勇敢で、戦略の才がすばぬけていて、一族の人たちの盾となって——アパッチの国をまもるための——メキシコと合衆国を相手にした山岳地帯と沙漠における戦争に戦い抜き、最後はあのジェロニモとともに合衆国陸軍に投降し(1886)て、戦争捕虜として遠くの居留地に送られ28年間をとらわれの身として過ごしたあげく、二度とふるさとに帰ることなく50歳のときアラバマの居留地で結核にかかって病死したといわれている伝説の女性だ。
番組は彼女の生い立ちから最後までをセミドキュメンタリーとして追いかけるもので、ホーリーマン(聖なる人)だったジェロニモの直径の孫(じいさまにそっくり!)などが出演する興味深いものだった。ぼくが見たのは再再放送らしくて、日本のディスカバリー・チャンネルのサイトには再放送をのぞむ書き込みがかなり寄せられていた。あと一回再放送があるので、興味を覚えた人はご覧あれ。
「ローゼン」というのは彼女が生まれたチリカウア・アパッチ(現在のニューメキシコ州南西部を国とする民)の言葉で「小さな妹」を意味する。ジェロニモとならぶ偉大なチーフとされるヴィクトリオの一番下の妹であり、十代の時にヴイジョンを得、敵の位置や数を五感以外の感覚で察知するもうひとつの能力や、病気を癒す超自然的な力も授けられてメディスンピープルの一員となり、そしてなによりも兄チーフ・ヴィクトリオの右腕の戦士として20代を過ごす。生涯独身だった彼女は、アパッチを代表するメディスンウーマンのひとりであって戦士でもあり、戦士の多くがそうであるように死ぬまで自分のほんとうの名前をあきらかにすることなく地球の旅を終えている。彼女は現在もその勇敢な行動と一族のものたちを危険にさらせないための不思議な予知能力によってアパッチの人たちのなかで知らない人はいない。そしておそらくこれが彼女のものだろうとされるたった一枚の写真——フロリダ経由でアラバマにジェロニモらと一緒に戦争捕虜として連行された直後の列車から降ろされたときの記念写真の一部(左上図版)——だけが残されている。
アパッチの人たちとアメリカ軍とそしてアメリカ軍に雇われたアパッチたちとの戦争の仕方などが、アパッチの視点から描かれていて、こういうドキュメンタリーが作られるようになったところにも不思議な感動のようなものを覚えた。ぜひ機会があったらご覧になるといいと思う、もしあなたが女性で、ネイティブ・アメリカンに興味をお持ちならば。
次回放映予定 05/25(木) 16:00〜17:00シリーズ:伝説の女性戦士
アパッチ戦士ローゼン北アメリカの先住民族、アパッチ族の偉大な女性、ローゼン。彼女の生涯を、もっとよく知ってみよう。ローゼンの予言と透視の能力、そして勇気は、アリゾナに侵入してきた敵から仲間を無事脱出させ、メキシコへと逃れさせた。彼女は闘いの時、敵の動きを予見することができたという。不思議な力は神霊治療家としても発揮され、また、助産婦としても活躍していたらしい。
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