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Wednesday, March 15, 2006

イン・ザ・スピリット・オブ・クレイジー・ホース

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クレイジー・ホースがヴイジョンを求めて祈ったとき、合衆国の軍隊との最後の戦いを前にして、今のサウスダコタに四方のネイティブの国から何千という戦士たちを集めたことがある。大平原を血の海に変えても白人の軍隊を一掃するためにどうすればよいか、彼は集まったたくさんの戦士たちをいかにまとめていくか悩みに悩み、そしてヴィジョンを求めたのだ。そして四日間の祈りと断食のなかで彼にもたらされたメッセージは、あたりを血の海に変えるようなまねは避けること、自分の一族のものたちが知っていることを圧制者たちに惜しみなく与えることのふたつだったという。ふたつのうちでも特に自分たちが知っていることを惜しみなく圧制者たちに与えることは、ネイティブの人たちにとっては、自分たちが一方的に虐殺の被害者になり続けてきた現実を見れば、およそ耐え難いほどの試練であることは間違いがなかったろうと思う。

写真は、唯一クレイジー・ホースのものかもしれないとされているもの。彼が写真を撮影されることを嫌っていたことは有名で、この印刷された背景のスクリーンの前に立つ写真の人物がそうだという証拠はない。この写真は現在モンタナのビリングスという町からそう遠くないところにあるカスター戦争記念館のクリストファー・コートランダーという人物が所有している。撮影したのはゴールドラッシュの時代のブラックヒルズをよく知り、価値ある記録として写真に残したジェイムス・ハミルトン(James Hamilton)という人物の父親の写真家だ。J・ハミルトンは、チーフ・クレイジー・ホースが降伏した1877年5月はじめにはスーの人たちの土地であるブラックヒルズに父親とともに入っていたと、後に彼が出版した『アイオワ年代記』という本の中で話しているという。この年の9月に同地のロビンソン砦でクレイジー・ホースは殺害されている。

巡り巡ってインターネットオークションの eBay に出品された200点以上の鉄板写真のうち、「Photograph 104」と数字が打たれ、鉄板写真のオリジナルのカタログに「写真104 クレイジー・ホース」と記されていて、ロビンソン砦で撮影され最終的にクレイジー・ホースのものかもしれないと発掘されるにいたった鉄板写真が、クレイジー・ホースの友人でこれを長く秘匿してきた人物のもとから流出し、どういう経緯を経て、21世紀になってオークションで6500ドルという価格で落札されて、カーター戦争記念館の所有になったかについては、長くなるのでまたの機会に譲ることにしたい。もし興味がおありなら、Billings Gazette というビリングスの町の新聞の2003年11月16日に掲載された、この写真の来歴についての記事がここ(リトル・ビッグ・ホーンの戦いを忘れないための記念サイトのなか)に掲載されているので、そちらをお読みください。ちなみにこの写真は鏡像になっていて、正しくは左右を逆転させたものだという。

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Comments

この写真を見たとき、なにかに感動しました。昔、ビリー・ザ・キッドの写真をはじめて見たときと同じような不思議な感動でした。

Posted by: Kitayama "Smiling Cloud" Kohei | Wednesday, March 15, 2006 09:00 PM

最近よく考えるのですが、この「与えること」って正しいのでしょうか。正しい、正しくない、と言う観点で物事を考えるものではない、とはわかっていつつも、つい、こう考えたくなってしまうような、結局、結果になっているような気がします・・・。
与えつづける意味というのはあるのでしょうか。
すべてはよきことのため、とは言え、よきこと、って一体いつ?とか、最近違った方向から思っていたところにこういう内容だったのでまた書き込みしてしまいました・・・

Posted by: mochi | Saturday, March 18, 2006 05:50 PM

Hello i am kavin, its my first time to commenting anywhere, when i read this article i thought i could also create comment due to this brilliant article.

Posted by: acai pills free | Wednesday, December 10, 2014 11:41 PM

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