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Thursday, February 09, 2006

57年前にホピの国から合衆国大統領に宛てて送られた手紙

LETTER TO THE PRESIDENT FROM HOPI EMPIRE, 1949


のブログの読者であれば「ホピの予言」という言葉を何度か聞いているだろうし、ここにやってくるほどの人ならどこか別のところでも「ホピの予言」について耳にしたことがあるに違いない。ネイティブ・アメリカンのさまざまな部族に伝えられている予言とされるものはどれも、部族の長い歴史のなかから出現したものであり、その起源を一個人に求めるべきものではない。それはさながら地下の水脈のごときものであり、つねに今の彼らにも有形無形に影響を与え続けている。そうした予言的な物語のなかで、最もよく知られていて、その及ぼした影響が計り知れないものが「ホピの予言」だった。

伝統派と呼ばれた人たちに伝えられたホピの予言のあらましを知りたい人は、ランド・アンド・ライフのサイトに置かれている拙訳の『ホピ物語--生命の始まりから浄化の日まで』をお読みください。

北アリゾナの高原沙漠の中、世界のどこからも遠いと思われる大地に暮らすホピの人びと。現在は数えるほどになってしまった伝統派のホピの人たちが大きな発言力と影響力を持ってホピの人たちの先頭に立ち続けたのはいつ頃までのことだったろうか。今回紹介するのは1949年に「ホピの国から第33代アメリカ合衆国大統領ハリー・S・トルーマン宛に送られた親書」である。

トルーマンは日本国への原爆投下命令をを下した大統領でもあるが、内容をお読みになれば、この手紙の底流に流れているものが「ホピの予言」であることは、今では誰の目にも明らかだろう。1949年は、第二次世界大戦が終結して4年後、朝鮮戦争勃発の前年であり、アメリカは自ら種をまいた核戦争の恐怖にパラノイアになり始めていた。ホピはその前年、各氏族の宗教指導者を集めて会議を持ち、それまでの予言とされるものを新たに調べなおすと共に、一族の通詞・広報官としてトーマス・バニヤッカ氏ら4人を任命している。今回翻訳してみた親書を一読されれば、当時にはまだホピの国が伝統派の人たちの強力な指導力のもと、アステカやオルメカやインカなどともどこか通底する古代から続いた神聖皇国を形作っていたことが理解されるだろう。

hopisungod
ホピ・インディアン帝国 オライビ アリゾナ 1949年3月28日

大統領宛て
ホワイトハウス ワシントンDC

大統領殿

われわれ、ホテビラ、シュンゴパヴィ、ムシュンゴヴィのホピの村でそれぞれ先祖代々チーフの座にありつづけるものは、ここに謹んであなたに言葉を届ける。

われわれの伝統に基づく政体と宗教原理についての知恵と知識に徹底的に精通し、その神聖さによって認められて、ホピ帝国の大地にくまなく暮らすすべての一般の民のために、話し、行動し、与えられた職責と義務とを、われわれの偉大なる精霊であるマーサウとわれらの祖先によって与えられし生命の基本原理にしたがって遂行することを委任されたものとして、この大地にある合衆国政府らに、ホピの帝国が今なお存在し続けていること、その伝統の道はいまだ手つかずのままであること、その宗教的体制はいささかも損なわれることなく実践によって保たれていること、そしてホピ帝国の境界線が書き記されている石版がいまだにオライビとホテビラのチーフの手のなかにあることを知らせる目的で、われわれはここに1949年の3月9日、13日、26日、そして28日にホピの村のひとつであるシュンゴポヴィに参集した。

われわれの話すことはすべて、われわれのハートからのものである。われわれは自らの伝統と宗教に基づいて真実を話す。われわれは、あなた方がアメリカと呼ぶこの大地の最初の人びととして話す。そしてわれわれはあなたに、ひとりの白人に、わが大地の岸辺に信仰と言論と集会の自由と、そして生きる権利と自由の権利と幸福を追求する権利とを求めて最後にやってきたあなた方のひとりに向かって話す。そしてまたわれわれは、すべてのアメリカン・インディアンの人びとに向かっても話す。

今日、われわれホピと白人とは、われわれひとりひとりのいのちの十字路において、対峙することとなった。われわれのたどってきた小径は、ついに白人の道と交差した。そしてこれは、人間の歴史において最も決定的なものになると予言されていた。いずれの場所においても、人びとは混乱している。今われわれが決定を下すこと、これ以後われわれがなすことが、われわれ個々の命運を左右することになる。なぜなら、われわれホピの指導者たちは、われわれの伝統的な指図に従っているからであり、われわれは自らの地位をあなたにはっきり示さねばならぬし、同時に、あなたにも同じことをわれわれに向かってするよう期待するものである・・・

ホピの政治形態はもっぱら宗教と伝統の基礎の上に打ち立てられている。この大地における神のきめられたいのちの計画は、グレイトスピリットによって、マーサウによって解説されたものである。この計画は変更することができない。ホピのいのちはこの神の計画の基本的な原理にしたがっている。他に道はなく、われわれにできるのはこの道にしたがうことである。われわれには他の道などというものは存在しない・・・

この大地は、ホピの人間にとって、そしてこの大地のすべてのインディアンにとって、聖なるわが家である。ホピの人間にこの大地がさずけられたのは、武力に頼ることなく、謙虚な祈りによって、伝統的かつ宗教的な指図に忠実に従うことで、われらの偉大なる精霊マーサウに誠をつくすことで、この大地を守護するためである。われわれは今もなお独立したひとつの国である。われわれの旗はわれわれの大地の(われわれの古代の遺跡の)ありとあらゆるところに、今なおかかげられている。いかなる白人がわれわれの大地の岸辺にやってくるはるかにずっと以前から、われわれは自治独立した国の人びととしてあり続けた。偉大なる精霊が創り計画されたものは、地球のいかなる権力もこれを変えることはできない。

わが帝国の国境は未来永劫に確定されており、今なおわれわれのもとにある石版の上にそれは書き込まれている。別の石版は、われわれが最初の人間としてこの新しい大地に出現した後に、石版を持ってホピの元に戻るであろうことがわかったうえで東に向かった彼の白い友人に与えられた。われわれの石版と彼の石版がひとつになったとき、彼らが同意をすれば、この大地が真にホピに属するものであること、彼らが真の兄弟であることが世界に証明されることが判明するだろう。そのとき白い兄弟も秩序を取り戻し、ここにいるすべての人びとが自らの伝統と宗教的原理に心をつくしてきたことと、自分が自分の一族の人間の扱い方を誤ってきたこととを、判断することになろう・・・

われわれ伝統的指導者たちは、あなたとアメリカの人々が、われわれがしっかりと自らの伝統的宗教的な土台の上に立ち続けるであろうことを理解してくれることを望む。そしてわれわれが今このときにはいかなる外国にも自らを縛りつける意思がないことを理解してくれることを望む。われわれはあなたがたとともに、われわれが全面的な破滅に導くものとして理解している突飛で無謀な冒険にすすむことはありえない。われわれホピの統治の形態は、つねに起こりうる不測の事態にたいして準備ができている。これまでもわれわれは、遠くはスペイン人の侵略者たちにはじまり、昨今の合衆国政府にいたるまで、ただひとつの例外もなくみな判で押したように、武力によってわれわれの存在を家としての国ごと一掃する目的で、われわれの国の岸辺に姿をあらわしたほかのあらゆる豊かで強力な国々と相まみえてきた。われわれはわれわれ独自のやり方で自らの運命にたどりつくことを希望している。われわれには敵はいない。同様にまた、今は誰に対してもわれわれは自らの弓や矢を見せることはない。これこそが永遠の生命と幸福へ続く、われわれの唯一の道である。われわれの伝統的かつ宗教的な鍛錬は、相手が誰であれ、傷つけ、殺戮し、みだらな振る舞いをわれわれがすることを禁じてきた。われわれは、それがゆえに、わが一族の青少年たちが強制的に戦争の訓練を施され、殺人者や破壊者にされてしまうことに異議を申し立てる。本来であれば、あなたはわれわれを守護する立場にある。いったいこれまでに、武器を手にした国が、自国の民に平和と幸福をもたらしたことが、いまだかつてあっただろうか?

われわれの同意も、認知も、承諾もないまま、アメリカ合衆国憲法のもと作られてきた法律であるにもかかわらず、そのすべてがわれわれに、自らの宗教原理だけでなく、当の合衆国憲法の原理にも背くものとわれわれが理解するありとあらゆることを、無理強いしてきている。

そこでわれわれはあなたにたずねる。アメリカの人民たちよ、あなたたちにとって宗教とはなにか? 伝統とはなにか? われわれは今日、どこに立っているのか? すでに時は訪れている。われわれひとりひとりすべてが、一族の指導者として、自らを、自らの過去のおこないを、われわれの未来の計画を、いま一度見直すときである。審判の日がもうじきわれわれの上に降りてくる。手遅れにならないうちに大急ぎで自分たちの家を片付けようではないか。

われわれはここに述べたことが真実であると信ずる。そしてわれわれはわれわれの心の底より、以上の理由において、ホピの族長一同として、あなたができうるかぎり真摯にこれらのことを御考慮くださることを要請する。そしてこれらを綿密にかつ注意深く御考慮いただいた後に、できうる限りすみやかにご返答をいただきたい。これを送ることは、一族を代表するわれわれにとっての神聖な勤めである。ここに敬い謹んで親書を送る。


チーフ タラハフテワ 村長 熊氏族 シュンゴポヴィ
バセヴァヤァ 顧問 カチーナ氏族 シュンゴポヴィ
アンドリュー・ハーメクァフテワ 顧問 青い鳥氏族 シュンゴポヴィ
チーフ サックマサ 村吏 コヨーテ氏族 ムシュンゴヴィ
チーフ ジェイムス・ポンガヤウィマ 村長 火氏族 ホテヴィラ
チーフ ダン・カチョンバ 顧問 主席補佐 太陽氏族 ホテヴィラ

▼ Original English Text below

Hopi Indian Empire, Oraibi, Arizona March 28, 1949

The President
The White House, Washington, DC

To the President:

We, the hereditary Hopi Chieftains of the Hopi Pueblos of Hotevila, Shungopovi, and Mushongnovi humbly request a word with you.

Thoroughly acquainted with the wisdom and knowledge of our traditional form of government and our religious principles; sacredly authorized and entrusted to speak, act, and to execute our duties and obligations for all the common people throughout this land of the Hopi Empire, in accordance with the fundamental principles of life, which were laid down for us by our Great Spirit, Masau'u, and by our forefathers, we hereby assembled in the Hopi Pueblo of Shungopovi on March 9, 13, 26 and 28 of this year 1949 for the purpose of making known to the government of the United States and others in this land that the Hopi Empire is still in existence, its traditional path unbroken and its religious order intact and practiced, and the Stone Tablets, upon which are written the boundaries of the Hopi Empire, are still in the hands of the Chiefs of Oraibi and Hotevila Pueblos...

What we say is from our hearts. We speak truths that are based upon our own tradition and religion. We speak as the first people in this land you call America. And we speak to you, a white man, that last people who came to our shores seeking freedom of worship, speech, assembly, and a right to life, liberty, and the pursuit of happiness. And we are speaking to all the American Indian people.

Today we, Hopi and white man, come face to face at the crossroad of our respective life. At last our paths have crossed and it was foretold it would be at the most crucial time in the history of mankind. Everywhere, people are confused. What we decide now and do hereafter will be the fate of our respective people. Because we Hopi leaders are following our traditional instructions, we must make our position clear to you and we expect you to do the same to us...

The Hopi form of government was established solely upon religious and traditional grounds. The divine plan of life in this land was laid out by Great Spirit, Masau'u. This plan cannot be changed. The Hopi life is all set according to the fundamental principles of life of this divine plan. We can not do otherwise but to follow this plan. There is no other way for us...

This land is a sacred home of the Hopi people and all the Indian race in this land. It was given to the Hopi people the task to guard this land not by force of arms, but by humble prayers, by obedience to our traditional and religious instruction, and by being faithful to our Great Spirit, Masau'u. We are still a sovereign nation. Our flag still flies throughout our land (our ancient ruins). We have never abandoned our sovereignty to any foreign power or nation. We've been self-governing people long before any white man came to our shores. What Great Spirit made and planned no power on earth can change.

The boundaries of our Empire were established permanently and was written upon Stone Tablets which are still with us. Another was given to his white brother, who after emerging of the first people to this new land went east with the understanding that he will return with his Stone Tablet to the Hopis. These Stone Tablets when put together and if they agree will prove to the whole world that this land truly belongs to the Hopi people and that they are true brothers. Then the white brother will restore order and judge all people here who have been faithful to their traditional and religious principles and who have mistreated his people...

We, the traditional leaders, want you and the American people to know that we will stand firmly upon our own traditional and religious grounds. And that we will not bind ourselves to any foreign nation at this time. Neither will we go with you on a wild and reckless adventure which we know will lead us only to a total ruin. Our Hopi form of government is all set and ready for such eventuality. We have met all other rich and powerful nations who have come to our shores, from the Early Spanish Conquistadors down to the present government of the United States, all of whom have used force in trying to wipe out our existence here in our own home. We want to come to our own destiny in our own way. We have no enemy. We will neither show our bows and arrows to anyone at this time. This is our only way to everlasting life and happiness. Our tradition and religious training forbid us to harm, kill and molest anyone. We, therefore, objected to our boys being forced to be trained for war to become murderers and destroyers. It is you who should protect us. What nation who has taken up arms ever brought peace and happiness to his people?

All the laws under the Constitution of the United States were made without our consent, knowledge, and approval, yet we are being forced to do everything that we know is contrary to our religious principles and those principles of the Constitution of the United States.

Now we ask you, American people, what has become of your religion and your tradition? Where do we stand today? The time has come now for all of us as leaders of our people to re-examine ourselves, our past deeds, and our future plans. The judgment day will soon be upon us. Let us make haste and set our house in order before it is too late.

We believe these to be truths, and from our hearts and for these reasons, we, Hopi Chieftains, urge you to give these thoughts your most earnest considerations. And after a thorough and careful consideration, we want to hear from you at your earliest convenience. This is our sacred duty to our people. We are, Sincerely yours.


Chief Talahaftewa, Village Chief, Bear Clan, Shungopovi
Basevaya, Adviser, Katchin Clan, Shungopovi
Andrew Hermequaftewa, Adviser, Blue Bird Clan, Shungopovi
Chief Sackmasa, Village Crier, Coyote Clan, Mushongnovi
Chief James Pongayawyma, Village Chief, Kotop Clan (Fire), Hotevila
Chief Dan Katchongva, Adviser, Co-Ruler, Sun Clan, Hotevila

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Comments

とても興味深く拝見させていただいております。
突然で失礼なのですが・・・
トラックバックを送信させていただきました。
私のブログでご紹介をさせていただきましたので・・・
不都合がございましたらすぐに削除させていただきますので
お知らせください・・・
更新を楽しみにさせていただいております。
失礼いたしました。

Posted by: 櫻井 | Friday, December 29, 2006 at 04:28 AM

This website was... how do you say it? Relevant!! Finally I have found something that helped me. Thank you!

Posted by: indian jokes | Saturday, August 09, 2014 at 05:21 PM

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