物憂げな立ち姿のカウィチャンの乙女
当ブログ右サイドバー巻頭の Peace な写真を差し替えた。今月は「Cowichan girl」を選んだ。1912年にエドワード・カーティスが公開した写真で、タイトルは「カウィチャンの乙女」である。「Cowichan」は、正しくは「Quw'utsun'」と記され、北西太平洋沿岸、現在のブリティッシュ・コロンビアにある土地の名前であり、そこをテリトリーとしていた海の人びとの呼び名である。カナダのネイティブの女性たちが編んだ寒さに強いセーターに、カウチン・セーターとされるものがあるが、このカウチンが「カウィチャン」のことである。
カウィチャンはサリッシュ族に属する。日本人のベースになった海人族と同じように「天孫神話」を持つが、彼らは、「自分たちの遠い先祖は空から落ちてきた」と表現する。天より降臨したのではなく、間違って落っこちたところが人間らしくてステキではあります。それも一度にまとまってではなく、カウィチャンのテリトリーのあちこちに離ればなれに落ちてきたらしい。空から落ちてきた人たちは特別な知の持ち主で、やなという魚をつかまえる仕掛けの作り方とか、鹿のつかまえ方、聖なる儀式と祈りの言葉のような生存に必要な知をあらかじめ持っていたとされる。
写真をクリックすると拡大されるし、拡大写真の下にある「Higher resolution JPEG version」をクリックすると、より解像度の大きな鮮明な写真が見れる。カウィチャンの乙女は、大きな岩の上に立って、物憂げなまなざしで入り江を眺めている。長い黒髪が印象的だが、身にまとっているのは、山羊の毛を編んで作ったローブで、解説には「高貴な家柄の人間だけが着ることを許されるもの」であるそうだ。
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Comments
ネイティブの世界感にある「人間らしさ」ってすごく興味深いですよねぇ。以前ホピのトマホークをお土産で買ったとき、装飾のビーズでひとつだけ違う色が入ってたんです。
なぜか? と聞いたら、「人間は完璧じゃないから」。
なんとまぁ 納得してしまいましたが、それをアートの中にもはっきりと表現するんですよねー。
Posted by: ハマンダ | Sunday, February 05, 2006 06:22 PM
ぼくもまったく同じ言葉をローリング・サンダーと名乗った老人から聞かされたことがあります。彼は「完ぺきなどと言うものはない」と言いました。そして「あるのは完ぺきにむかう力だ」と。
Posted by: Kitayama "Smiling Cloud" Kohei | Sunday, February 05, 2006 08:47 PM