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Friday, February 17, 2006

ホピ・ファーミング 地球に生きる人たちの農耕技術考 3

床の準備が整ったら、いよいよ植えつけである。植えつけに際しても、動力機械を使うことはない。彼らにとって農業は徹頭徹尾、機械でするものではないのである。

主に使う道具は、コーン・プランティング・スティックという棒である。またの名を「穴掘り棒」ともいう。樫のような硬質な木でつくった棒である。棒の一方は円く磨かれ、他方は先がとがっていたり、くさび形にされていたりする。この先のとがった方で地面に穴をあけるのだ。穴の深さは30から40センチほど。そうやって開けたひとつの穴に芽を出しているトウモロコシの種を6つから10ぐらいいれて土をかぶせる。

もともと水分の少ないアメリカ南西部の沙漠でトウモロコシを育てる人たちは、他の土地でトウモロコシを栽培する人たちとは違って、背の高いものをつくることよりも、地面のなかに根をしっかりとはってちょっとやそっとの風には負けないような背の低いものを育てる工夫をしてきた。

ホピの人たちの慣習では、この種植の作業は夫婦の共同作業で行うことになっている。お父さんが地面に穴をあけ、お母さんがその穴に種をいれて、足で土をかけていくのだ。

トウモロコシは畝で育てられる(神戸で映画『ホピの予言』を広める活動をしているランド・アンド・ライフのサイトの表紙にホピのトウモロコシ畑の写真がある)。トウモロコシの畑の畝と畝のあいだには、豆が植えられる。これは南米や中米でも長くおこなわれてきたやり方で、ホピの人たちは豆だけでなくさやも食べられるサヤインゲンのような豆類を植えることが多い。伝統的にはムラサキインゲンが育てられていたようだ。

そうやって作られた豆は天日で丸ごと乾燥され、保存食料となる。トウモロコシの畝と畝のあいだで育てられる可能性のある他の作物には、カボチャの一種であるスカッシュ、メロン、ヒョウタンなどもある。とくにスカッシュと豆とトウモロコシは、おそらくすべての農耕するインディアンたちにとっての定番の作物で、俗に「三姉妹(スリー・シスターズ)」と呼ばれて、この3つをコンパニオン・プランツとして一緒に育てることで違いに助け合って丈夫な作物が出来るのだとされる(この効果は近年ようやく科学的にも証明された)。しかしホピの人たちの場合だと、豆以外の作物は、彼らが暮らすメサと呼ばれる卓状台地のうえの村落の近くで育てられるケースが多い。トウモロコシは水分にセンシティブなためにメサの崖の下、村落から離れた畑で育てられるのだが。

paatangホピの人たちが好んで栽培するスカッシュは、縞のはいったヘチマカボチャといわれる種類である。5月下旬から6月の上旬にかけて植えつけがおこなわれて、秋遅く霜が降りたあとで収穫される。カボチャの肉果は茹であげられたり焼かれたりして食用となる。大部分は天日に干されて冬のあいだの貴重な食料となるのだ。まずは厚い皮の部分が取り払われて、小さく分けられたものが、長い紐に通されて太陽に干されてから保存される。(左の写真は昨年夏に日本で公開されたホルスト・アンテス氏所蔵のカチーナたちのひとつ、ヘチマカボチャのカチーナ)

またホピの人たちはメロンが大好きだ。ホピの人たちでなくてもメロンはみんな大好きだが、とくにホピの人たちはメロンを愛する。だからトウモロコシと同じように、いくつもの種類の異なるメロンを栽培してきた。そうしたなかからとくに味の良かったメロンの種を選んで保存してメロンを栽培し続けてきた。しかし最近のホピの人たちが育てているメロンは、近年になって導入されたおいしいメロンなのだが、これらは昔のメロンに比べると味はよいものの悪くなるのも早いという。

昔栽培していたようなメロンは保存がきいて、翌年の2月になる頃までは食べられたらしい。メロンやスカッシュの種も食用になった。そうした種は水分が完全になくなるまで火であぶられてローストされた。かりかりになった種はそのまま食べられたり、さらにはそれをつぶしてそこから少量の油をとり、そうやって集められた油はのちにトウモロコシの粉をつかって「ピキ」と呼ばれる紙のように薄いパンを焼く際に、焼いた石版のうえで用いられたのだった。(つづく)

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ネイティブアメリカンの生き方は、参考になります。沖縄でも、昔の農業が失われつつあります。

Posted by: だいこんの花広報マン | Sunday, April 05, 2009 09:59 AM

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