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Monday, January 23, 2006

「私の大統領就任は世界の先住民の勝利だ」とボリビアの新大統領は語る。

ボリビアで大統領就任式が行われた。毎日新聞がモラレス氏が大統領に就任するここ数日の動きをよくレポートしているので、ぜひ読まれると良いと思います。藤原章生という記者の人がモラレス氏に同行取材をしているらしい。おそらく世界の歴史にとってもとても重要なことが起こっているのだけれど、まだそれがどのような影響をもたらすか認識されていないと思われる。世界で最も貧しいとされる国の時代を変えるための選択に今後も注目し続けたい。

arrow2 モラレス次期大統領たたえ、先住民が儀式 2006年1月22日
arrow2 コカ葉農民が次期大統領の政治拠点 2006年1月22日
arrow2 モラレス大統領が就任式 天然ガスの国有化強調 2006年1月23日

モラレス次期大統領たたえ、先住民が儀式
【ティワナク(ボリビア西部)藤原章生】22日に就任する南米ボリビアのモラレス次期大統領(46)をたたえる先住民の儀式が21日、ボリビア中部の世界遺産「ティワナク遺跡」で執り行われた。メキシコやエクアドル、アルゼンチン、米国など米大陸12カ国の先住民代表ら約1万人が集まり、ボリビア初の先住民大統領の誕生を祝った。

 ティワナクはボリビアの中心都市ラパスから西約70キロのティティカカ湖に近い標高3844メートルの高原にあり、インカ以前の紀元前1580年ごろから紀元1133年まで独自の文明があったとされる。「神のエネルギー」が降り立つという儀式で、モラレス氏は自身が属するアイマラ族の祈とう者の赤と黄を基調とした衣装などを授かった。

 儀式を終え、石造の寺院に立ったモラレス氏は「私の大統領就任は世界の先住民の勝利だ。人々が一つになり、いまだに続く植民地状態と新自由主義経済を終わらせよう」と訴えた。

 南米最貧国のボリビアの先住民は人口の60%を占めながら、スペイン植民地時代から土地と天然資源を奪われ、90年代まで政治から疎外されてきた。貧富の格差や差別は今も根深い。

 モラレス次期大統領は国内の富裕層らに対して「我々はあなた方、ボリビアの中間層や知識人を誇りに思う。だから、あなた方も我々先住民を誇りに思ってほしい」と和解を呼びかけた。

 さらに、ボリビアで処刑されたキューバ革命の英雄、チェ・ゲバラと18世紀の先住民の英雄トゥパク・カタリの名を挙げ、「彼らの夢を実現するため、先進国が貧困や惨めさを放置するような世界を変えていこう」と締めくくった。

毎日新聞 2006年1月22日 17時43分


コカ葉農民が次期大統領の政治拠点
 22日、先住民として初めて南米ボリビアの大統領に就任する左派のエボ・モラレス氏(46)はコカ葉農民の代表として反政府運動を続け、政権トップの座に上り詰めた。モラレス氏が暮らしたコカ葉の産地、同国中部コチャバンバ県チャパレ地方を訪ねた。【サンタイサベル(ボリビア中部)で藤原章生】

 「コカ葉以外にまともな作物はない。畑を今の10倍に広げたい」。農民のテオドール・オガルテさん(42)がシートの上でコカ葉を乾かしながら語る。高床式の家の前にコカ葉の畑があり、脇に申し訳程度の水田がある。「コカ葉なしでは食べられず、子供を学校にもやれない」

 03年10月、政府軍とコカ葉農民が衝突し、70人が死亡した。その後、メサ大統領(当時)と下院議員だったモラレス氏の農民団体の話し合いで、チャパレ地方3200ヘクタールでのコカ葉栽培が合法化され、1軒あたり40メートル四方の栽培が認められた。

 オガルテさんは乾燥コカ葉を年間100キロ収穫し、300ドル相当の売り上げとなる。だが、コメやパイナップルの場合だと同じ土地で30ドルほどにしかならない。コカ葉は「金のなる木」なのだ。

 麻薬コカインの原料になるコカ葉は口にほお張ると疲れや眠気が消え、コーヒーと似た常習性がある。ボリビアでは人口の6割が常用していると言われる。20日にコチャバンバ市で開かれたモラレス氏を囲む会合でも、参加者の大半がコカ葉を口に含んでいた。

 チャパレ地方には83〜84年の干ばつと、85年の鉛鉱山閉山で職を失った約2万人が入植、コカ葉栽培を始めた。米国のコカイン流行と重なり、葉はコロンビアでコカインに精製され密輸された。

 米国の指導でボリビア政府は98年にコカ葉駆除作戦を始め、農民と政府軍兵士の衝突が繰り返された。チャパレ地方出身のレオニルダ・スリタ農民女性団体代表(36)によると、昨年までに農民約100人が死亡、5000人が負傷した。「コカ葉はアンデスの伝統作物で、麻薬として使うのは米国人だ。米国は自国の取り締まりを厳格にすればいい」とスリタ代表は話す。

 コカ葉の完全合法化を目指した一農民、モラレス氏は「反・新自由主義」の象徴となり、昨年の大統領選で54%を得票し、当選した。農民団体を母体とするモラレス氏の政党「社会主義運動」も議会選で上院27議席中12議席、下院130議席中72議席を獲得した。今後、ボリビアは元農民らが仕切ることになる。

 米国はボリビアに年1億5000万ドル規模の援助を供与しており、コロンビアで大規模なコカイン撲滅作戦を継続中だ。モラレス氏が大統領就任後、コカ葉合法化を急げば米国が圧力をかけてくるのは間違いないだろう。

毎日新聞 2006年1月22日 19時21分


モラレス大統領が就任式 天然ガスの国有化強調
 昨年12月のボリビア大統領選で先住民出身として初めて当選した左翼、モラレス新大統領の就任式が22日、西部ラパスで行われた。新大統領は就任演説で、先住民の権利を拡大、貧困対策のため天然ガス資源を国有化すると強調した。任期は5年。

 モラレス氏はコカインの原料にもなるコカの栽培農家団体の代表。「麻薬対策を口実に米国が他国を支配することはできない」と述べ、米政府が主導するコカ栽培規制策に難色を示した。

 モラレス氏は、ブッシュ米政権と対立するキューバのカストロ国家評議会議長やベネズエラのチャベス大統領と親しく、米政府は南米で新たな頭痛の種を抱え込んだ。

 貧困層の支持を受けて南米諸国で増えている左派系政権の中でも、自由主義経済政策に対するモラレス氏の敵対的な言動は特に目立っている。

 モラレス氏は「先住民は多数派でありながら(スペイン人の南米到達以来)500年間も差別されてきた。不正義を終わらせよう」と訴えた。21日にはラパス郊外で、先住民が集って大統領就任を祝う式典も行われた。(リオデジャネイロ共同)

毎日新聞 2006年1月23日 8時46分

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