大晦日の日にモハビ火力発電所が閉鎖され、聖なる泉を守るホピの人たちの戦いのひとつがとりあえず終わった
昨年の大晦日の日をもって南カリフォルニア・エジソン社他3つの会社が所有していたネバダのモハビ沙漠の中のラーフリンという町にあるモハビ火力発電所(写真)が閉鎖された。グランドキャニオン一帯の大気汚染を引き起こしていた施設と裁判所が認定したことを受けての処置であるが、これによってホピの伝統派の指導者たちや環境活動家たちが30年間続けてきた発電所とその関連施設の閉鎖を求める闘争も一応の終結を見ることになる。
発電所から273マイル東に離れたところに位置するホピの人たちの聖地であるブラックメサには彼らの儀式用の泉があり、ピーボディ石炭会社はブラックメサで露天掘りされた石炭を細かく砕いたものをその泉の地下からくみ上げた地下水を使ったパイプラインで発電所に供給してきた。聖なる泉の水が次第に枯渇してきたことに危惧するホピの伝統派の指導者たちはただ砕いた石炭を運ぶためだけの目的でとてつもなく貴重な地下水を大量にくみ上げ続けたピーボディ石炭会社との闘争を続けてきた。この闘争のある部分は宮田雪監督のドキュメンタリー映画『ホピの予言』(ランド・アンド・ライフ)にも記録されている。そして30年間かかってようやく彼らは発電所そのものを閉鎖に追い込むことができたのだ。聖なる泉の水の枯渇を憂いその原因をもたらしているさまざまな企業の利益本意の活動をとめようとしてきた多くの人たちにまずはおめでとうをいいたい。
だがこの発電所の閉鎖によって関連施設で働いていた160人のナバホやホピの人たちが職を失い、両方の部族政府は何百万ドルものロヤリティーの支払いを受けられなくなることがきまっている。南カリフォルニア・エジソン社は皮肉なことにこの施設の閉鎖により「大気汚染クレジット」を他企業に年30から50万ドルで売却する権利を得ることになることがわかっていて、ネイティブの活動家や環境運動家たちはそのうちの年間20万ドルをホピとナバホの人たちの再就職支援トレーニングなどのためにふたつのコミュニティーに供出することを求めているが、エジソン社はもたらされる可能性のある利益を独り占めする姿勢を崩していない。
この苦い勝利を手にして、ホピ部族会議の前チェアマンのヴァーノン・マサイェスバ(Vernon Masayesva )氏は「発電所閉鎖はエネルギー新時代の最初のステップ(Closing power plant is first step in new era of energy )」という声明を公開した。なお今年の3月には15人のホピのランナー(走る人)たちがこの勝利を祝し、ホピの聖なる泉の水をヒョウタンにつめたものを、メキシコシティで開催される「第四回世界水フォーラム」の会場まで大地を踏みしめて運ぶことがきまっている。
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Comments
不覚にもやっと今日になってこの記事を読ませていただきました。ニューメキシコのウラン採掘の記事も。
ほんとうに貴重な情報に感謝します。
モハベの火力発電所は閉鎖になり、これはすごいことだと思います。さらに、ブラックメサでの石炭採掘と地下水の汲み上げについてはどんな感じになっているのかが気になります。そこがまた肝心のところでもありますし。
年末の情報では、この時期には雪で真っ白になる聖山サンフランシスコピークスには全然雪がなく、冬の間に大地が蓄える水のことも心配です。
Posted by: れいこ | Tuesday, January 17, 2006 11:19 PM
いつも読ませていただいてます。
正月にホピ・リザベーションに行き
ホピ・ランのリーダーのルーベン氏に会ってきました。
先日自分のブログで
ホピ・ランに関係する話を書きまして・・・。
もし良かったら読んでみてください
http://plaza.rakuten.co.jp/hiyoko730/diary/200601240000/
Posted by: みっち総裁 | Friday, January 27, 2006 04:24 PM