だからネイティブ・ピープルは輪になって座って話をする
車座になって座し、話をすることでこころの内を共有することは、ネイティブの伝統である。ジョン・ピーターズ(スロー・タートル) ワンパノアグ
ジョン・ピーターズ(1930-1997)は北米東部森林地帯の大西洋沿岸部をテリトリーとするマシピ・ワンパノアグ・インディアンの優れたメディスンマンだった人物。インディアンの名前はワンパノアグ語で「Cjegktoonuppa」といい、意味は「スロー・タートル(ゆっくりな亀)」だった。彼は生前来日したことがあり、ヒロシマとナガサキで、原子爆弾の犠牲者を追悼するための伝統的な儀式を執りおこなっている。
マシピ・ワンパノアグ一族はアメリカ・ニューイングランドの先住民で、「マシピ」とは「大きな入り江のある土地」を意味した。マサチューセッツ州では最大のネイティブ・グループで、人口は1500人ほどであるが、皮肉なことに合衆国政府は彼らを「連邦法上の先住民」とは認定していない。
今回とりあげた彼の言葉は、いわゆるネイティブの人たちの会議というか話をする会である「トーキング・サークル(話の輪)」について語っているもの。トーキング・サークルとは、特定のひとりの人間にたっぷりと時間を与えて心ゆくまでお話しをしてもらう場のことをいう。しばしばこれを「みんなであれこれ話しあうための場」と誤解している人がいるので注意が必要である。話をしている以外の人で輪に参加している人たちは、聞くことによって多くを学ぶ体験をするのだ。あくまでもトーキング・サークルとは学びの場なのである。ぼくはよく講演のときになど「人間に耳がふたつあって口がひとつあるのは、話すことの2倍よく耳を傾けて聞くことの重要性を、わたしたちを創られた存在が教えているのだ」という話をする。耳がふたつに口がひとつというのは、けして偶然の産物なのではない。そして話をする場は、人びとが輪を作っている。北側には男性が座り、南側には女性が座ることことが多い。場を仕切るものは東側に座る。そうやってできた人びとの輪は、話をする人間とひとつになるみんなのハートを全員で共有するためのものである。そうやってみんなで共有するものでわれわれは互いに癒しを体験する。心のなかにある痛みや悲しみについて話をするとき、その痛みや悲しみは輪のなかで分散され、われわれは痛みや悲しみから解放される。トーキング・サークルがほんとうに機能するためには、人びとは輪を構成しなくてはならないのだ。人びとが文字通りサークル(輪)を描く。そしてそのとき輪の中央には偉大な神秘が顕現するのである。
トーキング・サークルを機能させるためのガイドライン
- 一度に話すのはただひとりだけ 話をする人間に鳥の羽根かトーキング・スティックと呼ばれる棒がわたされる場合もある。直接誰かに向かって話をしない。直接誰かに話しかけることは、対立を生じる危険があり、輪に亀裂をもたらしかねない。
- 自分が誰かを伝える 最初に話をするときにはまず自己紹介をするのが礼儀。自分のスピリット・ネームを伝えるか、本名を名乗るかはどちらでもよい。
- ハートから話す 話をする人間は自らの心からの言葉をサークルに差し出すこと。時間は気にしなくてもよいが、他に話す人がいる場合にはその人の存在に敬意を払うこと。
- 敬意を持って耳を傾ける 話し手以外の全員は注意深く耳を傾けて話者にたいする支援を惜しまないこと。ハートで聞くことで、話されていることの下に隠れている話者の意図を受けとめることができる。自分の話を聞いてもらうときにそうあって欲しいような聞き方をすること。
- サークルのなかで聞いた話はその輪のなかに留める 話し手の許可をもらうことなく、サークルのなかで聞いた話を他のところで繰り返したりすることは絶対にしないこと。
※サークル全体の場の感情が高ぶっているときには、セージなどを焚きつづけるとよい。
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Comments
2月26日(日)に古屋和子さんと野中かつみさんに「ジャンピング・マウス」を語っていただく雑司ヶ谷キリスト教会です。 教会と町会の広報版に貼るチラシを作っています。 どんなデザインを考えても戻ってくるのは、太田出版から出された「ジャンピング・マウス」の表紙です。目白での公演の折に伺った北山さんの証と相まって、これしかないの思いが強まっています。 30枚ほどパソコン印刷の予定ですが、あのマウスと円、それにもし許されるのでしたら、北村さんのお書きになったコピーをA4のチラシの一部に使わせていただけませんでしょうか。 勿論スキャナーで取り込んだ表紙の絵には「写真借用」以下の断り書きは付けます。 ご許可戴ければ有難く、お願い申上げます。 我ながら厚かましく、恐縮しいしいご返事お待ち申上げています。 雑司ヶ谷キリスト教会・タカハシクミコ
Posted by: タカハシクミコ | Tuesday, January 31, 2006 11:45 PM
タカハシクミコさま
ジャンピング・マウスのカバーを使うことは問題ありません。本のタイトルと
出版社名などを隅にでも入れていただけるとありがたいです。
宣伝の予算がないもので。:-)
コピーを使われることも、許可します。ただし、小生の名前を間違えないこと。
「北村」ではなく「北山」です。
ジャンピング・マウスのお話会が盛況の内に終わるといいですね。
キタヤマ コウヘイ
Posted by: Kitayama "Smiling Cloud" Kohei | Wednesday, February 01, 2006 09:05 AM