わたしはいまだかつて嫌いな人とあったことがない
わたしのご先祖はメイフラワー号でやってきたわけではない。船と出くわしてしまった方だチェロキーの血をひくウィル・ロジャースの言葉
「わたしはいまだかつて嫌いな人とあったことがない」という言葉をぼくがはじめて聞いたのは映画評論家の淀川長治氏にインタヴューしたときのことだった。淀川さんはその台詞をこよなく愛して自分のモットーにしていた。70年代の前半のことで、もうずいぶん昔のことだ。その淀川さんも7年前の11月に89歳で「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」とスピリットの国に行ってしまわれた。ぼくがインタヴューの時のことで覚えているのは、その前向きな言葉と、淀川さんがおそろしく小柄で愛くるしい人だったと言うことだけだ。後ろ姿がチャップリンのようだった淀川さんが愛したその言葉がウィル・ロジャースというアメリカ人のカウボーイであり、哲学者であり、作家であり、コメンテイターであり、コメディアンであり、コラムニストであり、国民的俳優——アメリカの良心といわれた——の言葉だと知ったのはだいぶたってからのことで、そのウィル・ロジャースがインディアンのチェロキーの血をひく有名人であることを知るのはさらにずっと後のことである。「Never Met A Man I Didn't Like」それが「わたしはいまだかつて嫌いな人とあったことがない」のもととなった英語だが、本日11月4日は、アメリカでは「ウィル・ロジャース・デイ」と呼ばれている。1879年の今日、チェロキー国のなかの牧場で彼が誕生したのだ。今年は彼の生誕126年になり、オクラホマのタルサでは毎年この日に盛大なお祭りが繰り広げられることになっている。「わたしはいまだかつて嫌いな人とあったことがない」という彼の言葉もまたインディアン・スピリットのあらわれであるのかもしれない。
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