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Monday, November 07, 2005

昨晩ケビン・ロックがみんなに教えたサイン・ランゲージ

昨日の夕方、冷たい雨の降る新横浜へ、先般お知らせしたケビン・ロック(Kevin Locke)氏のインディアン・フルートとフープダンスを見に行ってきた。彼のインディアン・ネームはラコタ語で「トケヤ・イナジン(最初に立ちあがるもの)」という。会場は満員であり、インディアン・フルートの演奏も、ケビン・ロック氏をフルートの師と仰ぐ船木卓也氏のドラミングによるフープダンスも、たくさんのメッセージを伝えようという意気込みがすみずみにまで感じられて充実した時間を過ごさせていただいた。ダンスは圧巻だったし、船木卓也氏による解説もわかりやすかった。しかしぼくが今回のステージで最も感じ入ったのは、冒頭のサイン・ランゲージによる「祈り」だった。祈りは、19世紀のラコタのチーフ・イエロー・ラークの言葉(『聖なる言の葉』にも所収)を簡略化したものだったが、ケビン・ロック氏はこれをインディアン・サイン・ランゲージで表現する方法を会場のみんなに教えてくれたのである。


おお、偉大なる 精霊よ
その声を わたしは 風のなかに 聞き
その息は 世界に いのちを 与えます
お聞き ください

わたしは 小さくて 弱く
あなたの 力と 知恵とを 求めています
願わくは この わたしを
美のなかに 歩ませ たまえ

どうか わたしの 目に
赤と紫の 夕日を お見せ ください

どうか わたしの 手が
あなたの 作られた ものを
さげすむ ことの ないように
また、わたしの 耳が
その声を 聞き漏らす ことの ないように
おはからい ください

あなたが あなたの 子どもたちに 教えられたこと
あなたが すべての 葉や 岩に 書き込まれた 教訓
それらを 理解 できるように
どうか わたしを 賢く してください

兄弟たちを け落とすために ではなく
自分の最強の敵 である おのれと 戦うために
どうか わたしを 強く してください

沈みゆく 太陽の ように
わたしの いのちが 消えゆく とき
いささかも 恥じ入る ことなく
わたしの スピリットが あなたの もとへ 行かれる ように
曇りのない 目と ともに あなたの もとを 訪れる 準備を
どうか ととのえ させて ください

チーフ・イエロー・ラーク、ラコタ 一八八七年
Chief Yellow Lark, Lakota


この祈りが、すべてサイン・ランゲージによって、まるで絵のようにイメージでつぎつぎと表現されていく光景にぼくはひきつけられた。昔「インディアンは手で話す」というすてきな表現を聞かされたことがあったけれど、まさしくその光景を目の前にして、部族間の会話を可能にした手話という伝統的な技法が脈々と今日まで伝えられていることに感動に近いものを覚えたのだ。


arrow2 Indian Sign Language OnLine Dictionary

かつて「インディアンは手で話す」というタイトルで日本語化されたことのあるウイリアム・トムキンズが著した本の原著が全文収録されているサイト。ウイリアム・トムキンズは19世紀末にダコタ領のスー・インディアン居留地の近くに暮らしているときに手話を学んだもの。

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Comments

外の天候とは好対照の熱気溢れる時間と空間でした。 ケビンさんのフラフープのパフォーマンスは祈りだ、というコメントがありましたが、まさしくその通りだったので、ちょっと驚いてしまいました。 よく考えればそんなはずはないのですが、実際に見るまでは、エンターテイメント的な要素がちりばめられたものかな、なんて思っていたりしたもので、、、 私が一番感動したのは、ケビンさんと船木さんがフルートでデュエットした際の、ケビンさんの船木さんを見つめるまなざしでした。 それは<愛>という言葉で表現できる範囲をはるかに超えた深い感情のように思われました。こういうまなざしを持つ人のことを、インディアン魂を持つと言うのでしょう。 私もいつの日か、とは思うのですが、道のり長し、、、

Posted by: 胡蝶 | Monday, November 07, 2005 07:31 PM

19世紀のラコタのチーフ・イエロー・ラークの祈りの言葉を読み、はっとしました。
ずいぶん前に、この言葉の様な真っ直ぐで謙虚な心を忘れない為に、、、と思い、同じ文章をメモ帳に書き写していたのを思い出したからです。。メモ帳の代が替わって新しくなるに連れて、この言葉達の事も忘れかけていました。また思い出させて頂き、有難うございました。

Posted by: KAPIW | Wednesday, November 09, 2005 01:55 AM

 インディアン・サイン・ランゲージをそのルーツの一つに持つとも言われるアメリカン・サイン・ランゲージの芸術表現ですが、これを学ぶ日本人ろう者が近年増え続けています。手話芸術は、手話を知らない人でも魅了する力を持っていますね。

Posted by: waka moana | Wednesday, November 09, 2005 08:42 AM

  国分寺と新横浜の両日、公演を見る事が出来ました。以来ずっと身体に幸せな空気が充満しているような感覚でいます。
フープダンスは美しくて清らかで力と想いが溢れていて衝撃でした。サイン・ランゲージの美しさには私もすっかり魅了されました。万物に対する尊敬があのような美しい表現になるのでしょうね。
ケビンさんの包み込むような表情・仕草・声…全てが、何冊本を読んでも雲の中にいた私から、少し雲を吹き払ってくれたような気がしました。
先日、初めて北山さんの講演を聴いた時にストーリー・テリングのパワーを実感した時も同じような感覚を受けました。何かがコトンと胸に降りていくような感触さえ有りました。
インディアン・スピリッツに近づける時を目指して自己改善(?)中です。

P.S.
プライベートでいらしていたのに話しかけてしまって済みませんでした。
お会いできて2日間の幸せが倍増しました。ありがとうございました。
HIROさんに2日間の報告をしたら「本物に出会った衝撃を大切にするように。」と教えられました。 丸山

  

Posted by: hiroko | Wednesday, November 09, 2005 01:42 PM

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