チェロキーに伝えられた予言 #08
物事の動きがスピードを増していくのを見るようになるとき、地球のうえで生きる人たちの動きもいや増しにましていくことだろう。孫たちの世代はもう祖父母になる時間はないかもしれない。男子も女子も親にはなれても子供たちを持つ時間はないかもしれない。時間の流れがさらにさらに速まるように見える。エルダーたちはわれわれに警告を与えた。物事の速度が早くなっていくようなときには、おまえたちはスローダウンしなくてはならぬと。時代が早く動けば動くほど、われわれはスピードを落とさなくてはならない。物事の動きが速くなるときには、この地球が三回目に揺すられようとしているのであるから。グレイトスピリットはこれまでに二回この地球を揺すられた。第一次世界大戦も、第二次世界大戦も、われわれがひとつの人間家族であることを、われわれひとりひとりが兄弟であり、姉妹として、互いに挨拶を交わすべきだったことを思い出させるためのものだった。地球が揺さぶられた後、ともにより集まって輪になるチャンスが、過去に二回われわれには与えられたのだが、われわれはその機会をミスしてしまった。
今度、つまり三度目にグレイトスピリットが地球を揺さぶるときには、その空の家から下の地球に向かって「灰のつまったヒョウタン」が落とされるのだ。
エルダーたちによれば、そのころにはこの大地のうえにあまりにも広大でどこまで続いているかはとても見渡せないぐらいの大きな村ができていることになっている。そしてさまざまな予言によればその広大な村は「石の村」とか「石の平原」と呼ばれている。
それらの石は大地から空に向かってのびていて、それぞれの石があまりにも高くそびえているために、村から遠くまではとても見渡せないのだそうだ。
そうした村という村のそれぞれの中心には、ネイティブ・ピーブルがいるだろう。彼らは石の平原のうえをそれぞれがさながら「実のない貝殻」のごとくに歩いている。
エルダーたちは「実のない貝殻」「貝の抜け殻」と確かに言った。それはネイティブ・ピープルたちが自分たちの伝統にたいする理解をすっかり失って、内側が空っぽになってしまっているということなのだ。
彼らはこう言った。イーグルが月に舞い降りた後、石の大平原のなかに暮らす人たちのなかから、その石の平原を離れて、昔ながらの生き方を学び、自分を生まれかわらせようとするものたちが現れはじめるだろう。なぜならそうやって新しい一日がはじまるのだから。
だがそこまでするのはほんの限られた数の人間に過ぎない。多くはそのまま石の平原にとどまるだろう。
エルダーたちが言うには、やがてそのときが来る。朝日が昇ってきたときにはそこに確かにあった石の村が、夕方には大地からのぼりくる蒸気に包まれているだろう。
それは立ちのぼる蒸気としてやって来る。多くの石の村の中心地が、瞬時にして蒸気に姿を変える。そのとき町に残っていたネイティブ・ピープルたちも、目を覚まして石の村から出て行かなかったがために、一瞬のうちに蒸気になってしまうだろう。
エルダーたちは地球が三回目に揺さぶられるときはそうなるのだと言っている。あまり見たくないような光景ではあるが、それでも生き残るものは生き残る。われわれはそれを生き延びるだろう。
そしてそれを生き抜いた後、そのときにもまた地球のうえに生きる人たちの間で輪を作ろうという試みが起こる。そして今度は、ネイティブ・ピープルも仲間に加わるために請願する必要はなく、はじめから輪に加わるように招聘されることだろう。エルダーたちに言わせると、そのときまでには人びとのわれわれに対する態度も一変しているというのだ。
人びとはわれわれをその輪の中に入れてくれるだろう。四つの方向に分かれていた四つの色の人たちが互いの知恵を分けあうこともでき、地球にも平和が訪れる。
そのときが今迫りつつあるのだ。
予言というのはどんなものであれ絶対的なものではない。いつも可能性は常に残されている。1565年のときにみんなで集まることだってできたし、そうすれば偉大な文明を今ごろは築いていたかもしれないのだが、われわれはそうはしなかった。
いつだってわれわれは、こうした予言の筋道にそって、ひとつに繋がることができた。これからだって、まだできるはずだ。われわれが人種や宗教に基づく不協和音をしずめることができるのなら、われわれもこの第三回目の揺さぶりを体験しないでもすむかもしれない。
エルダーたちは言っている。その可能性はほんのわずかなものであるだろうと。このわたしの目から見ても、可能性は限りなく小さい。だが、もはやなすすべがないかというとそうではない。エルダーたちに言わせれば、われわれにできることは、その衝撃を和らげることであり、そうすれば被害はそれほどにはひどいものにならないだろうという。ではそのために、われわれになにができるのか? それが、われわれをもう一度ひとつにつなぐための教えを分けあうことなのである。(了)
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