チェロキーに伝えられた予言 #04
彼らはいかにすれば苦難の時を乗り越えて生きながらえることができるかを知るために人びとを送り出してヴィジョンを見させようとした。彼らはあらかじめ予言のなかで、その場に集うすべての人たちに、万物のなかにある神聖さについて思い出させるようにしなくてはならないと、告げられていた。もしそれができるのなら、そのときにはこの地球に平和がもたらされるだろうと。けれどもしそれがかなわなかったときには、つまり、われわれがひとつの人間家族としてまとまることができなかったときには、グレイトスピリットがその御手でこの地球をつかまえられて、激しく揺さぶることになると。
西海岸のエルダーたちは、あの連中がいずれ黒いリボン(註・舗装された道のこと)を作りはじめることを予言していた。そしてこの黒いリボンのうえを一匹の虫が動き回るだろうと。この虫をあなた方が大地のうえで見るようになったときは、地球が最初に震える御しるしであると。そして地球が最初に震えたとき、あまりのふるえの激しさに、その虫は大地から放り出され、やがてその虫は空を飛びながら動きはじめるだろう。そしてこの地球の震えがおさまる頃までには、この虫は世界の空を飛び回るようになると。虫の背後には土ぼこりのもうもうと舞う道ができ、そして最終的には、地球の空という空のほとんどの部分が、この舞いあがる土ぼこりの道によって汚されてしまうことになり、その結果、わけのわからないような病気がたくさん引き起こされることになるだろう。そう、大地のうえを動き回る虫、今ではそれはどこにでもいるしだれの目にも入る。1908年、T型フォードがはじめて大量生産にかけられたとき、エルダーたちは、最初に地球が揺さぶられるときが間近に迫っていることを知った。そしてそれが第一次世界大戦だった。
第一次世界大戦において、飛行機ははじめて広く使われるようになった。それは空に放り出された虫だった。これを見たとき彼らにはやがてとても重要ななにかが起ころうとしていることがわかった。この大地の西の海岸において、平和を作ろうとする試みが起きることになっており、エルダーたちは固唾をのんで推移を見守った。やがて彼らの耳に、サンフランシスコで地球の各国々の同盟が作られようとしているという知らせが届きはじめた。そこで1920年ごろ、エルダーたちがアリゾナで一堂に会し、みなで時の大統領であるウッドロー・ウィルソンに宛てた手紙を書いた。エルダーたちはそのときに作られつつあった国々の連盟(国際連盟)にインディアンもふくまれるかどうかをその書状で問いただした。
アメリカの最高裁判所はインディアンの居留地はアメリカとは分けられており、半ば独立国と見なすべきとの判断を示していた。リザベーションは合衆国の一部ではないが、合衆国によって保護されている土地であると。しかし居留地がどんどんと自分たちのところから離れていくことをあの人たちは望まなかったから、ことは重大事だった。連中はリザベーションを独立した国のように見ることを望まなかった。だからあの人たちは返事をよこさなかった。そしてネイティブ・ピープルは国際連盟の国の枠からはずされ、輪は未完のまま終わってしまった。あのときの国際連盟という国の輪の南側には南の扉が設けられていた。南の扉は黄色い人たちのものだった。西側の扉は黒い人たちのもので、北の扉は白い人たちのものだった。しかし東の扉には人が配置されていなかったのだ。エルダーたちは知っていた。人類の輪がこのように未完成のままであるのなら、地球のうえに平和が訪れることはないと。四つの色の人たちがひとつの輪を分けあって腰をおろし、それぞれに伝えられた教えをみなで共有できたときにはじめて、地球にも平和がもたらされるのだと。(不定期につづく)
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