4000年前のネイティブ・ジャパニーズの特別な建物が遺跡で発見された
北海道で最大級の平地住居跡を発見 斜里・縄文時代中期の「来運1遺跡」
北海道新聞 2005/09/01 09:23
【斜里】網走管内斜里町にある縄文時代中期(約四千年前)の「来運1遺跡」(同町来運二〇)で、直径十二−十三メートルの円すい形をした伏屋式平地住居跡が、同町教育委員会の三十一日までの発掘調査で見つかった。縄文時代の平地住居跡では道内最大級の規模。専門家は、同遺跡が、付近の集落の拠点だったとみている。同町教委は昨年五月から発掘調査を開始。昨年の調査で深さ約五十センチの地中に、だ円形を半分にしたような形で長さ七メートル、幅一・五メートルの格子状に組まれた炭化した木材が出土し、住居の外壁だとみられていた。
さらに、今年の調査で炭化した格子状の木材が、直径十二−十三メートルの円形に広がり、同心円状に並んでいたことが判明。地面は平たんで、縄文時代では珍しい「伏屋式平地住居跡」で、木材が屋根に使われていたことがわかった。
遺跡には、炉など火を使った跡がないことから、生活のための住居ではなく祭祀(さいし)の場などだった可能性が高いとみられている。
調査に当たった同町立知床博物館の松田功学芸係長は「平地住居跡の発掘例では根室市の穂香竪穴群などで直径五−六メートルのものがあるが、今回の規模の大きさは道内では初めて。屋根の格子に細い枝材を組み込み、土が落ちないよう工夫しているのも興味深い」と話している。
発掘の調査指導をした東北芸術工科大の宮本長二郎教授(建築史)は「直径が十メートル以上あり、広い範囲を統括していた拠点集落の中心だったと考えられる。縄文時代は全国的にも竪穴しか住居として認知されていないが、屋根材が平地に残っていたことで今後、(縄文時代にも)平地住居があったとの認識が強まるだろう」と話している。
「生活のための住居ではなく祭祀(さいし)の場などだった可能性が高い」とある。「祭祀の場」という言葉が、縄文時代の遺跡を語る時、それがなんだか現代人の頭で理解できないと、ほとんどいつでも判で押したように使われるけれど、ネイティブ・ジャパニーズ・ピープルの生活って、生活のすべてが儀式、一日二十四時間が宗教の生き方なのだから、当然と言えば当然だよね。すべてが祭祀の場なわけだから。そろそろ他の表現を考えられないものなのかな? 当方の想像力不足なのか「伏屋式平地住居跡」というのがいまひとつわかりにくい。具体的にどんな建物だったのだろうか?
富山市教育委員会事務局主幹の藤田富士夫氏が「富山の住まいと暮らし」というテレビ放送の講座の記録のなか、「縄文の住まい 遊動から定住へ」と題された非常に興味深い講義のなかで「鹿児島県国分市の上野原遺跡(早期前半で約8,000年前)では、伏屋式平地住居が多数発掘されており、定住集落が縄文早期に確立していることを示す」と話している。木材を円錐形に組んで、獣皮や草等で屋根を覆う伏屋式平地住居は非常に早くから日本列島に広まっていた建築様式であるらしい。「ウィキャップ」とか「ウィグワム」と呼ばれるものとも似てそうだ。ネイティブ・ジャパニーズは、定住インディアンだったのかも。もっとも、人というのはもともとが定住指向が基本なわけだし、イロコイなどの森林地帯の人たちと同じような「ロングハウス」と呼ばれる大きな長い家を村の中心にすえたライフスタイルがあったとしてもおかしはくない。ちなみに亀の島(北アメリカ大陸)の住人たちが長い歴史のなかで風土に適して独自に開発した家の作り方には大きく七種類あると言われている。「ウィキャップ」「ウィグワム」「ロングハウス」「ティピ」「ホーガン」「ダグアウト」「プエブロ」だ。このうち「ウィキャップ」と「ウィグワム」が伏屋式平地住居にあたるものだと思う。ネイティブ・アメリカンの家については「NATIVE AMERICANS Native Housing」のページに写真も絵もたくさん掲載されているので参考にしてみてください。そのページの記述によれば「最も一般的な家はウィグワムで10人から12人が暮らせるほどのもの」という。ネイティブ・アメリカンの伝統では、ウィグワムを建てるのは一族の女性たちの大切な仕事とされた。はたしてネイティブ・ジャパニーズの場合はどうだったのだろうか?
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