わたしたちのものの見え方をとおして世界のすべてに影響を与えうる物語
ストーリーテリングを学んでいてクマ好きの小生には、たまたま行き着いた財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構のサイトの「ものがたり」のなかで紹介されている「ちいさなくまのカムイのおはなし」がとりわけヴィジョンのように心に残った。鈴木隆一さんというかたがアイヌのエルダーたちの伝承を絵本にしたものだが、クマの目から見た人間の世界について描かれていてあざやかに記憶に残るものになっている。このような、わたしたちのものの見え方をとおして世界のすべてに影響を与えうる物語は、地球のネイティブに広く共通するものだが、それはまた人間というものが、しばしばリアリティのほんの一部だけをとおして自然世界を見ているだけのものにすぎないことを思い出させる重要な働きをしているのだ。
読み始めるとすぐにねこのストーリーが「クマのいのち」について教えていることに気がつく。わたしたちの祖先が動物のいのちを奪うことで生きながらえてきたと言うことを、スーパーマーケットでラッピングされた肉を買って食べている現代人はともすると忘れているが、この物語はその事実を美しく思い出させてくれるし、クマにとって尊厳ある死とはなにかについても考えさせる物語でもある。解説もわかりやすいので、おはなしを読んだあとには必ずこれも合わせて読もう。
もともと不完全な人間にとって、たまにはクマの目から世界を見ることも必要なのだと言うことを、ここで再びわたしは強調しておきたい。今年も又秋が終わる頃にクマたちが里におりてきて、猟銃を持って喜々とした大人たちに追い回されるのだろうか。(冒頭の図版はちいさなくまのカムイのおはなしより。部分)
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Comments
私もクマコレクターですよ。北海道の木彫りは基本として、パリのプランタンで買ってきたレジンのカンフー熊(カンフーの手つきをしている玩具)、ハイダのトーテムポールのミニチュアやペンダント、中国製のクマ型ティーポットなどなど。妻の手製のテディベアも数体おります。スイスで買ったクマ型絵葉書も自慢の逸品です。
Posted by: waka moana | Monday, September 19, 2005 12:38 PM