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Wednesday, September 28, 2005

土地の名前は忘れない

征服者が先住民のことを忘れたがってもそう簡単に忘れられないのは、土地の名前が先住民の言葉でつけられたりしている場合が多いからである。日本列島の本州にもアイヌや蝦夷によってつけられたであろう名前がかなりまだ残っているし、北海道の地名の多くがアイヌ語に起源を持っている。かつては亀の島と認識されていたアメリカ大陸にも、先住民の言葉で呼ばれる地名が無数に残されている。アメリカのマジョリティーが心の底でインディアンの存在を忘れたがっているとしても、彼らに先住民の存在を決して忘れさせないものがそうした土地の名前である。征服の最後の仕上げがいうならば土地の名前をかえてしまうことであるのかもしれない。

アメリカを車で走っていると時々まったく意味のわからない言葉の町などの側を通過することがある。そうした名前の多くがインディアンの言葉だったりする。実際アメリカのロードマップをめくってみると、ヨーロッパ語に起源を持たない言葉の地名をいくつも見つけることができる。征服がはじまって500年ぐらいしか経過していないために、開拓者たちが先住民の名前から採用してつけた土地の名前が無数に残されている。小さな町ばかりでなく、都市や、山や、湖や、川や、沼や、谷の名前がインディアンの言葉だったりする。たとえば「五大湖」と呼ばれる5つの大きな湖のうちの4つはインディアンの言葉だし、50ある州の半分以上の28州の州名がネイティブ・アメリカンの言葉を起源とするのである。ABC順にあげていってみよう。

Alabama アラバマ クリーク同盟に属するインディアンの名前だとか。

Alaska アラスカ アリューシャンというのはロシア人がイヌイットの人たちを呼んだ名前で、もともとイヌイットの人たちの「アラクシャーク」から名づけられた。半島、大いなる大地、島ではない土地という意味。

Arizona アリゾナ ピマ・インディアンが「小さな泉の場所」と名づけていた土地をスペイン人がアステカ語の「アリズマ」「銀のでる土地」と名づけた。

Arkansas アーカンサス クオポー・インディアンのつけていた名前のフランス語なまり。クオポーはスーの言葉を話し、アーカンサスというのは「川下の人たち」を意味する。

Connecticut コネチカット モヒカン語、あるいはアルゴンキン語で「長い川の場所」という意味。

Delaware デラウエア もともとはヴァージニアの藩主であったデ・ラ・ウエア卿からきている。デラウエアは最初川の名前となり、次にその川の流域に暮らしていた部族であるレニ・ニナペの人たちを指し示す言葉となり、最後に州の名前となった。

Hawaii ネイティブ・ハワイアンの「故郷」をあらわす「ハワイキ」という言葉から。

Idaho アイダホ もともとはカイオワ・アパッチがコマンチのことを呼んだ呼び名だと言われている。

Illinois イリノイ フランス人が「イリニ」「イリニの土地」と呼んだもの。アルゴンキン語で「男」「戦士」を意味する。

Indiana インディアナ 文字通り「インディアンの大地」という意味。

Iowa アイオワ 「美しき土地」「眠りに誘う土地」という意味。

Kansas カンサス スー語で「南風の人」を意味する。

Kentucky ケンタッキー 「暗くて殺伐とした土地」「牧草地」「明日の土地」という意味だとか。

Massachusetts マサチューセッツ 「大きな丘のある場所」という意味で、そこにもともと暮らしていた部族がそう呼ばれていたらしい。

Michigan ミシガン アニシナベ語の「ミチ・ガマ」から。「偉大な水」という意味。五大湖のひとつ。

Minnesota ミネソタ ダコタ語で「曇った水」「空を写した水」の意味。ミネソタ川のこと。

Mississippi ミシシッピ アニシナベ語の「ミチ・ジビ」からといわれている。「偉大なる川」「すべての水を集めるもの」という意味。またアルゴンキン語の「メシッピ」からとする説も。

Missouri ミズーリ アルゴンキン語で「大きなカヌーの川」という意味。

Nebraska ネブラスカ オマハ・インディアン、オト・インディアンの言葉で「広い水」「平らな川」を意味する。その川は現在プラット川と呼ばれている。

North & South Dakota ノース・ダコタ、サウス・ダコタ 「ダコタ」はスー語で「友だち」「盟友」を意味する。

Ohio オハイオ イロコイの言葉で「きれいな川」「良き水の流れ」を意味する。

Oklahoma チョクトー・インディアンの言葉で「オクラ・フンマ」が「赤い人」を意味する。

Tennessee テネシー リトルテネシー川流域にあったチェロキーの村が「タナシ」と呼ばれていたことから。

Texas カドゥ・インディアンをはじめ多くのインディアンが「友だち」の意味で使っていた言葉。

Utah ディネの人たちの言葉で「高いところ」「高く登ったところ」を意味する。もともとはショショーニの人たちがユテの人たちをそう呼んだことから。

Wisconsin ウィスコンシン アニシナベ語で「草の多い土地」を意味する。

Wyoming ワイオミング アルゴンキン語で「大きな草原の場所」を意味する。

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Comments

Kansas こと南風椎です :-)

貴重なリストをどうもありがとう。
ここではなく部族の名前の時に質問すべきだったのですが、いいでしょうか?

マカ・インディアンの「マカ(Makah)」は「半島の」という意味だと聞いたことがあります。
カナダのインディアンだと思いますが、具体的にどこの半島を指しているのか、ご存知でしたらぜひご教授ください。

Posted by: 南風椎 | Wednesday, September 28, 2005 at 03:30 PM

クジラとアザラシたちと生きる人たちですね。アメリカのワシントン州のオリンピック半島に暮らしてます。ネイティブ・アメリカンのなかで唯一合法的にクジラを捕ることが認められている部族です。伝統的な猟方で。地図は↓
http://www.northolympic.com/makah/map.html

Posted by: Kitayama "Smiling Cloud" Kohei | Wednesday, September 28, 2005 at 05:27 PM

感謝します。
例の「1000の風」の祈りを生んだ人たちです。
シアトルの近くだったんですね。

Posted by: 南風椎 | Thursday, September 29, 2005 at 12:16 AM

地名には先住民由来の名前が残される。

まえまえから考えいました。弓の島と亀の大陸の先住民侵略・征服の歴史が、千五百年以上の時間差があっても内容は本質的に同じだと確信する要素のひとつです。
おなじように世界の各地で先住民への侵略・征服が行われて来、今も続いています。先住民(野生のひとびと)を征服しようとする人間の行動は本質的に似るものなのでしょうか。自然界(野生)に対して一方的に宣戦布告した「人間」の魂はいったい何処へむかうのでしょうか。

Posted by: 山竒 | Thursday, September 29, 2005 at 11:59 AM

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