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Thursday, August 25, 2005

イスラエルがネイティブ・アメリカンに学ぶべきこととは

「イスラエル治安当局は23日、ヨルダン川西岸の入植地サヌールとホメッシュで入植者を強制退去させた。これにより、ガザ地区の21入植地とヨルダン川西岸の120入植地のうち4入植地から、計9000人に上るユダヤ人入植者の撤退が完了した」とロイター電が23日に伝えていた。イスラエルの軍隊がヨルダン川西岸やガザの入植地から、彼らの同胞の入植者たちを追い立てている光景は世界中にテレビ中継された。たくさんの人たちがその光景を見てなにかを、あるいは胸騒ぎを感じたに違いない。

当然ながらアメリカ・インディアンも、われわれと同じようにこの光景にビビッドに反応している。これまであまり語られることのなかった、イスラエルとパレスチナにたいするネイティブ・アメリカン・ピープルの側からの視点と発言を今回は紹介しておきたい。今という時代を知る上でも読む価値はある記事だと信じるからである。以下の「イスラエルはネイティブ・アメリカンから学べることがもっとあったはず」という文章は、8月22日に「Native American Times(NativeTimes.com)」というオクラホマのタルサという街で編集されているネイティブの人たちのための新聞が掲載したものだが、同紙は記事を掲載してから2日間だけは無料で読むことができるがそれ以上になると有料になるために、現在は無料でアクセスはできない。翻訳は小生がしたが、急いでいたのでわかりにくい箇所があればご勘弁願いたい。

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Israel could have learned much from Native Americans

イスラエルはネイティブ・アメリカンから学べることがもっとあったはず

——インディアン・カントリーからの覚書

文 ティム・ギアゴ(ナンウィカ・クシジ)8/22/2005
ネイティブ・アメリカン・ジャーナリスト・ファウンデーション会長

なんだかんだといったところで、難民キャンプには類似点がたくさんある。この場合はパレスチナの人たちの収容所だけれど。土地が没収されたか、力ずくで取りあげられたあと、インディアンの人々もまた、しばしば異なる部族と一緒くたにされてキャンプ(居留地)に集められた。

伝統的な生き延びる方法から切り離されたあとは、入植者たちの博愛心に全面的にすがるしかもはや道は残されていない。まだ彼らのための居留地を強制的にあてがわれることもなかった他のインディアンの部族の親切心から命拾いをした者たちもいる。そして、17世紀、18世紀、19世紀と、何千人ものインディアンたちが、自身の土地において難民となるしかなかった。

初期の開拓移民たちは、アメリカ合衆国が北米全土を支配開発すべき運命をになっているとして、異教徒たちが追放されることが神の意志であると信じこんでいた。白人のキリスト教徒たちが家を構えてその数を増やすことは神の意志だった。彼らは、原住の民を、壊滅させるか、排除されるべき単なる障害と見なしていた。

インディアンの男と女と子供たちの首に助成金がかけられた。すべての開拓移民たちは金を得るために、インディアンの頭皮または皮膚をはぎ取ることとされていた。しかし、まさにその虐殺のただなかに、「汝、殺すなかれ」という掟を実際に守りとおしたキリスト教徒たちもいたのだった。

かわりに、彼らは原住の民を彼らのために取り分けた土地へ移動させ、自分たちの中から宣教師を派遣して彼らを転向させて、教化し、文明化させようとした。当然それは、自分たちがこれなら受け入れられると考えるイメージに合わせた人間に造りかえることを意味していた。

アメリカ・インディアンの知識人のなかには、常にパレスチナの人たちに兄弟のような感情を抱いている人たちがいる。1967年の六日間戦争のあと、東エルサレム、ヨルダン川西岸、そしてガザは、力ずくでパレスチナ人から取りあげられた。(編集者注釈:戦争前、西岸同様に、東エルサレムはパレスチナではなく、ヨルダン人の支配下にあった。そして、ガザ地区は、エジプトの支配を受けていた)それらの土地はユダヤ人侵入者たちの永住地とされた。ユダヤ人の移植者たちの大半がそれを「神の意志」であり、「土地は自分たちに属する」と信じていたのだ。

初期のアメリカの開拓移民たちと同じように、イスラエル人の多くは、自分たちが手に入れたばかりの土地に人は誰も住んでいないものと信じて疑わなかった。だが実際のところは60万人以上のパレスチナ人が、1914年1以前からその土地で暮らしていたのである。イスラエルという国は1948年になるまで、影も形もなかった。

パレスチナの人たちがなぜこの占領にありとあらゆる形で抵抗したのかについてもし疑問に思うひとがあるなら、その人間はほぼ5世紀の間続いたアメリカ先住民の抵抗をなによりも正視しなければならない。

先週、イスラエルの兵士たちによってガザから入植者たちの排除を伝える記事のなかで、ニューズウィーク誌の記者であるケビン・ペライノ(Kevin Peraino)がいみじくも書いていたように「国というのは人間のようなもので、それには肉体もあれば、精神もあるし、筋力も,欲望もある」のである。

もしこれが50年以上も続いたパレスチナの人たちによる、故地を占拠したユダヤ人への抵抗がいかなるものかを示すものであるなら、それはまた、なぜ500年以上を経た今もなおインディアンの国々が入植者たちに囲まれたまま存在し続けているのかを説明するものでもあるだろう。

まさしく「国というのは人間のようなもの」なのである。そして、そこに「肉体と精神、筋力と欲望」のある人びとがいるかぎり、武力によって自らのものではない文化や社会を完全に支配しようとする考えに抵抗する人たちも存在する。

オグララ・ラコタが、先住民の国のひとつとして受け入れられ認められてきたように、パレスチナが国としてやっていけるかどうかは、彼もしくは彼女自らの他のパレスチナの国々との関係と受け入れによって規定される。誰がパレスチナ人なのかとか、誰がネイティブ・アメリカンなのかという真の定義は、彼らが自身の国の住民として受け入れられることで決定されるのだ。

イスラエルが1948年に建国されて以来、果てしない武力衝突の中、何万人ものイスラエル人とパレスチナ人がいのちを落としてきた。アメリカが1776年に建国されて以来、占領した人たちと先住の民のあいだに権利も法律も道徳もなにひとつ確定することもないまま、何万、いや何百万もの人たちが武力衝突の中で死んできた。

パレスチナがひとつの独立国として認められるまで、中東と西側の関係を不安定にした対立は続いていくことだろう。アメリカは、どちらかの側にくみするのではなく、両者と公平公正に向かいあわなくてはならない。

アメリカがイスラエルが民主主義になることに拍手喝采をおくっている間、1948年以降に別の戦略をもちいていたなら、今頃はパレスチナもこの地域のなかで独立したひとつのアラブの民主主義の国になっていたことだろう。結局のところ、イスラエルも、合衆国の金融面や道徳的な支援がなければ民主主義を達成することはできなかった。アメリカがパレスチナの人たちに対する不公平な偏見を抱いたままその地域に入り込まなければ、パレスチナでも同じことが達成されていたはずである。

イスラエル人が追い立てられて、ガザの彼らの家から追い立てられるのを見ることは、人心を騒がせはしたが、その土地がわずかな数のユダヤ人と多くのパレスチナ人たちの土地であることを思えば、入植を放棄したシャロンの動きは、自由を求める国々によって拍手喝采されなければならない。

中東での戦いは、いかに多くのイスラエル人たちを彼らが現在占領している土地から移住させられるかだけでおよそ片が付くようなたぐいのものではない。アメリカのイラク占領はやがて終わるだろうが、しかし、その国の中の問題は残り続けるし、アメリカの占領が有益であったか、有害であったかも数年たたなければわからない。

アメリカがこの世界の先住の民の国の宗教的政治的な複雑さを理解する努力をして、政治と宗教の独自ブランドを一方的に押しつけるのをやめるまで、中東諸国との戦いは終わることなく、激しさを増すのみである。

500年以上も時間を費やしたのに、アメリカは、いまだ政治的に、そして、道徳的に、それ自身の原住の民に、いかに対処するかを学んではいない。これは、イスラエルがアメリカ・インディアンから学ぶことがでるもう一つの重要な教訓であろう。

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Comments

こんにちは。お久しぶりです。
先日、ゴダールの新作映画「アワーミュージック」を見た
のですが、舞台はサラエボで、パレスチナのことが
語られるのですが、そこにいきなりアメリカインディアンが
登場して驚かされました。
まさにこの記事と同じようなことを
伝えようとしていたのだと思います。

Posted by: クボタ | Friday, August 26, 2005 at 11:54 AM

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