約2千年前の木製弓が完ぺきな姿で復元された
2千年の時超え弓復元 1日から資料館で公開 石狩・紅葉山遺跡
北海道新聞ニュース(本物とレプリカの写真あり) 2005/07/29 06:55
【石狩】1982年に石狩管内石狩町(現石狩市)の紅葉山33号遺跡から発掘された続縄文時代(約2千年前)の木製弓が完ぺきな姿で復元され、8月1日から市の砂丘の風資料館で公開される。国の重要文化財級の発掘とされ、考古学ファンの間で広く知られる「幻の名品」。劣化の恐れからこれまで樹脂で封印し、保管してきたが、京都の業者が開発した新たな保存方法で公開が可能になった。
この弓は、石狩町教委(当時)が同遺跡内の墳墓の一つを調査中、地表から約六十センチの所で発掘した。全長約一・一メートル、直径約三センチの丸木弓で、三カ所で分断されていたものの、ほぼ原形に近い形で出土した。全体に二層の朱色の漆が塗られ、黒の渦巻き模様が描かれている。祭祀(さいし)用の飾り弓とみられる。
(中略)
北大大学院の小杉康助教授(考古学)は「木製の弓の出土は近年増えているが、続縄文文化のもので全体に漆が施され、模様が完ぺきに残っているものは例がない」と語る。当時の漆工芸技術の高さを証明する上で貴重な存在で、弓を副葬されていた人物の社会的地位もうかがえるという。弓の模様は、アイヌ民族のアイウシ(神の矢の意味)という渦巻き模様との類似性から、アイヌ文化と関連があるとする見方もある。専門家らは「今回の公開で研究に弾みがつく」と期待している。
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