九州のバスケット・メーカーたち
「西日本最大級の縄文早期貝塚 佐賀市・東名遺跡」という記事をアサヒコムで見つけた(2005年05月03日03時19分)。佐賀市金立町千布(きんりゅうまちちふ)の「東名(ひがしみょう)遺跡」から縄文時代早期(約7000年前)の、西日本最大級の貝塚が発見されたというもの。わたしの興味を引いたのは、西日本で大きな——九州島最古の——貝塚が見つかったこともあるけれど、それよりも国内最古とみられる木編みのカゴが40個以上も出土したところ。大陸や半島から「後に日本人になっていく人たち」が押し寄せてくる前の九州島の先住民はバスケット・メーカーでもあったのね。記事には写真も掲載されていて、編み方もなんとなくわかるようになっている。カゴはムクノキの薄い板製で、縦横に編んだものなど4種類の編み方が確認されたという。編み目の間にはドングリやクルミなどがはさまっていて、「貯蔵用に使われたとみられるが、用途に応じて編み方を変えた可能性がある」と記事は書いている。最終的には出土するカゴは100個を超えるらしい。また、シカの角に直径1ミリ程度の多数の小さなくぼみを規則的につけて文様を施した道具がいくつも見つかっている。「装身具とみられるが、シカの皮などを縫って衣類にするため、針を刺しておく道具という見方も」と記事。同遺跡群調査指導委員会長の甲元真之・熊本大教授は「縄文人が狩猟生活から海産資源の開発に乗り出した時期の典型例。そばには集落や墓の跡も見つかっており、当時の生活の様子を総合的に研究することができる」と話しているとか。
バスケットは土器が作られるようになる前から使われていたはずだ。北米大陸の先住民が最初のバスケットを作ったのが約9000年前だった。さまざまな植物の素材を用いて編みあげたもので、バスケットには大きく分けて3つの基本的な作り方がある。それは、組編み方式、巻き付け方式、らせん巻き方式だ。これは地球各地で共通のものだろう。佐賀で発掘された木編みのカゴは、組編み方式の最もシンプルなもので、亀の島の東部森林地帯に暮らすイロコイやチェロキーなどの狩猟採集民のものと作られ方がよく似ているようにも見える。この組編み方式は竹カゴなどを作るときのやり方で今に伝えられている。ライフスタイルによって作られ方も異なるはずなので、今後どのようなバスケットが出土するか楽しみである。
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