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Wednesday, April 06, 2005

地球の未来を傷つけるべからず

やはり近頃の異常気象は相当に深刻らしい。「インディアン・カントリー・トゥディ(Indian Country Today)」というネイティブのための新聞が「母なる地球に耳を傾けよ(March 28, 2005)」というタイトルのコラム記事を掲載している。書いたのは同紙の人気コラムニストであり詩人でもある、シャイアンとマスコーギーの血を受け継ぐスーザン・ショーン・ハルホ(Suzan Shown Harjo)だ。彼女は書いている。

fisticon「誰もが天気の話をしている。水辺のスイレンもガマの穂も今年は成長が芳しくない。これはわれわれのメディスンが例年ほどは手に入らないということを意味する。カバの木の皮もいつになくもろい。籠づくりからカヌーづくりまで、カバの木の樹皮の堅牢さだけが頼りなのだ。北西部太平洋沿岸の雨林においても、杉の皮をはいだものの湿り気が例年に比べて少なく、しなやかさもたりない。これでは彼らの帽子も籠も、もはやしっかりしたものは作ることが望めない。数年前の大火の後再び毎年顔を出すようになっていたベア・ビュット(山)の薬草も、再び姿を消してしまった。天然物のトウモロコシは小さくなるばかり。ひきかえ遺伝子組み換えのトウモロコシだけが成長を続けて勢いを増し、ゾッとすることにいったいどれほど大きくなるのか誰にもわかっていない。海から川に帰ってこなくなって、姿を消してしまった魚の話を誰もがしている。カエルたちも、鮭たちも、頬のなかに毒を持つ複眼の虫たちも。コウモリたちが減り、西ナイルウィルスを運ぶ蚊の数がさらに増えた。西ナイルというのはエジプトではないか。そこのウィルスがアメリカ合衆国の人たちのところに運ばれているのだ。ここ20年も50年もとんとお目にかかったことのない干上がった川の川底を、ひとびとは目撃している。何千年も昔の埋葬の跡がむき出しになっていたりする。無数の美しい花々を一面に咲かせた平原がそこかしこに増えている。ひとびとはその光景を見て気持ちが良くなり生きている実感を味わうが、それらの花という花はどれも、大地がいちど全部野火でことごとく焼き尽くされた後に生えてきたものなのである。地球はからからに干からびいちど死んだ場所ではじめからやり直そうとしている。北極のイヌイットの人たちが伝えてきた。地球の温暖化で自分たちの家が、食料が、生き方が、貴重な生命すらが、危機的な状態にあると。北極の温暖化は、この惑星の他のどの地域よりも二倍も早く進行中だと、2004年に300人の科学者たちが語っている。極地の天候がもたらす影響を4年間にわたって調査研究した後で、氷河及び凍土がとけだしていて海面が上昇しているのだと。科学者たちもイヌイットの人たちも、ホッキョクグマはこのままでは絶滅しかねないと警告した。ブッシュ政権はこうしたすべての証拠を、すべての声を、すべての兆しを、ことごとく無視した。そればかりか、自分たちの国の2002年の[気象白書]が『人間の活動の結果としての温室効果ガスが地球の大気に蓄積されつづけていて、これがために地球規模の大気の気温上昇と海面温度の上昇を引き起こしている』と指摘したことすら、無視している。地球規模の温暖化については、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の議長によって、今年また別の警告が発せられた。議長のラジェンドラ・パチャウリ博士は国際会議の席上、のべ百カ国を超す国々の代表を前にして、世界の『大気に含まれる二酸化炭素の濃度が危険なレベルに達しているかも知れない』と語ったのだ。彼は『人間の生存能力に危険を与えかねない』として世界に対して汚染のレベルを大幅に減らすよう呼びかけた」

これにたいしてブッシュ政権はなにひとつ手を打つことはせずに、代わりにやったことは過去30年間に積み上げられてきた環境保護の基盤にくさびを打ち込もうとする試みだったとスーザン・ショーン・ハルホさんは手厳しく批判している。なんでもブッシュとその仲間たちは、森林伐採業界の意向を受けて、アメリカ森林保護法という法律のもと守られてきた動物や鳥や木々や植物や水質水源の保護をゆるめつつあるらしい。彼等が現在おこなっている地球を危機的状況に追い込む可能性のある愚行についていちいちあげていくときりがないのでわざわざ翻訳するのはとめておくが、そこに暮らしているすべてのいのち(全生活をその環境に依存しているネイティブ・ピープルの生存そのもの)を脅かすものであること十二分に知りつつなおガソリンのために強行されるアラスカ北極圏国立自然保護区における原油の掘削もそのひとつであることを伝えておきたい。こうした現行政治権力の愚かな権力の行使について200語ほどを費やした後、彼女はこう書く。

fisticon「これまでの数年間に、われわれは過去50年間にはなかったような最悪の嵐をアフリカでいくつも目撃した。壊滅的な地震と津波に襲われた南アジア。記録を塗り替える数の多さだった8月の竜巻に、春の大雪。今年初めから日を違えてほぼ同時に噴火し始めた3つの火山であるワシントン州の霊峰マウント・セント・ヘレンズ、シシリー島のエトナ火山、そしてメキシコのコリマ火山。コリマ火山の噴煙は航空機の運航に支障を与え、ヘレンズ山から上る蒸気は6マイルの高さに到達、息をのむようなエトナ火山の溶岩とマグマの流出。いま活動をしている火山はこのほかにもアラスカ、ハワイ、オーストラリア、コスタリカ、日本、フィリピンなど世界各地にある。後3つの火山が同時に噴火したらとてつもないことがおきるだろう。こうした火山の噴火活動が、地球の温暖化とか、地球に深い穴を掘ってそこからオイル取り出したことと、関係があるのかどうか、わたしにはわからないし、他のどんな人間の活動が火山活動と関係しているのかもわからない。ただ少なくともわたしに言えるのは、母なる地球がわれわれに、なにごとかを話しかけてきているということである。母なる地球が話そうとしていることがなにであれ、なるべくなら出来うる限り早い時期にそれを発見し、問題解決のために手を打たなくてはならない。現状を見る限り、アメリカの政治的な指導力は、それとは反対の方に向かって発揮されており、行動において思慮深さに欠け、先のことなどなにも考えてはいない。もしわれわれがこのまま政治の流れを変えることができないのであれば、われわれはわれわれがベストだと思えるやり方で自分たちの庭を守るための行動を起こす必要があるだろう。そのためのはじめの一歩は、母なる地球の声に耳を傾けることだ。そして彼女の傷を癒すために、できることはすることだ。それができないなら、少なくとも彼女の未来に傷を与えるような真似だけは絶対につつしむことだ」

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