ショショーニとパイユートが仲が悪いのはなぜか
コヨーテというのは、彼の兄弟である狼(ウルフ)とおなじように、スピリチュアルな存在なのだ。世界がはじまったときコヨーテは亀の島のふるさとをあとにして、太陽が昇る方角に向かって東へ東へとどこまでも旅を続けて大きな海を越えたという。はるか遠くの土地で、コヨーテは嫁さんをめとり、たくさんの子どもたちをもうけた。この子どもたちというのがインディアンである。南北アメリカ大陸に長いこと暮らし続けている偉大な部族のご先祖さまたちだ。
![]() |
ずる賢くて好奇心だけは人一倍旺盛なコヨーテだったが、ふるさとに帰る旅の途中、ようやく亀の島の東海岸に帰り着いたところで、ウォサのなかから太鼓を打つ音や歌をうたう声が聞こえてくると、もう矢も盾もたまらずに、ここまで来ればちょっとぐらいなかをのぞいたところでどうってことはあるまいと考えた。
そこで彼がウォサの栓を開けて中をのぞき込もうとしたとたん、ウォサの中から子どもたちが一度にわっと飛び出して、四方八方今の南北アメリカ大陸のあちこちに散らばっていってしまった。大あわてでコヨーテがウォサに栓をしたときには、なかにはもうふたりしか残っていなかった。そのふたりがショショーニとパイユートだったのだ。しかたがないのでコヨーテはそのふたりを連れてグレイトベイスン沙漠のふるさとに戻った。
コヨーテがグレイトベイスン沙漠にたどり着いてウォサの栓をはずして逆さまにすると、なかから残っていたふたりの子どもが転げ落ちてきて、いきなり喧嘩をはじめた。
コヨーテはふたりを蹴り飛ばして喧嘩をわけるとこう伝えた。
「いいか、おまえたちふたりはどちらも俺の子どもなんだ。ほかの子どもたちはどこかに消えちまったので、これからは好きなだけおまえたちで兄弟喧嘩をするがいい」
とまあ、こういうわけで、今のカリフォルニアや、ネバダ、アイダホ、ユタ、オレゴンに暮らして、自分たちのことをそれぞれ「ニュウイ」と「ユマ」と呼んでいるグレイトベイスン沙漠のショショーニとパイユートのふたつの部族は、顔をあわせるといつだって喧嘩をしている。
「Native American Story」カテゴリの記事
- 新しいスタイルの動物園や水族館が生まれているという(2009.08.13)
- 話しかけてくる不思議なサボテンであるペヨーテの伝説が読みたいときは(2009.07.27)
- 少しずつでものぼり続けることを教えるティーチング・ストーリー(2009.07.14)
- アホウドリ・メディスン アイヌの伝承(2009.06.11)
- 大地のスピリットたちへのささげもの(2009.03.05)
The comments to this entry are closed.
Comments