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Wednesday, March 02, 2005

蝦夷(えみし)に朝廷がコメ支給

興味深いニュースを見つけた。3月1日の 11:01 にasahi.com が配信した「蝦夷に朝廷が米支給 秋田・胡桃館遺跡の木簡判読」というもの。記事を全文引用する。木簡の写真はリンク先でご覧ください。なおこの記事は同日の夕刊(3版18面)に掲載されたときには写真がなく「『蝦夷』の地に朝廷の出先か」というタイトルに差し替えられていた。

秋田県鷹巣町の平安時代の集落跡「胡桃館(くるみだて)遺跡」から出土した木の板が、米の支給を記した帳簿とわかったと同町教委が1日、発表した。9世紀末から10世紀初頭ごろの、行政の記録らしい。一帯は、11世紀半ばまで京都の朝廷の支配が及んでいない「蝦夷(えみし)の地」とされてきたが、朝廷側の出先があった可能性が高くなった。▽木の板は37年前の調査で見つかっていたもので、約22センチ四方。このほど奈良文化財研究所が赤外線装置で調べたところ、米を支給した記録が墨の文字で書かれていることがわかった。「玉作麻呂」「米一升」などと受け取った人の名前と米の量が記されていた。▽熊田亮介・秋田大教授(古代史)によると、胡桃館遺跡では4棟の建物が確認されているが、周囲の蝦夷の住宅とは構造がまったく違い、集落の性格をめぐり議論が続いてきた。発見された木の板は朝廷側の行政の記録とみられるという。▽「出羽の国府の出先のような形で、蝦夷の地に何らかの役人が常駐していたことが考えられる。古代の北方社会の支配の状態や、蝦夷と朝廷側の関係を考えるうえで貴重な資料だ」と熊田教授は話している。 (03/01 11:01)

秋田県鷹巣町は白神山地にもほど近い出羽国の山奥にあり、積もり重なった火山灰(十和田湖や白頭山の大噴火によるもの)の下から出土したものは、ヤマトの朝廷が蝦夷(えみし)にコメの食料援助をしていたことがわかる行政側の記録である。ちょうど今から1000年ぐらい前のもので、この当時はフロンティア・ラインがかなり押し上げられていて、純粋に先住民の国と呼べるものは、本州島では現在の岩手県と秋田県の一部と青森県ぐらいしか残されてはいなかったようなのだ。

コメを蝦夷たちに配給した理由はいったいなんだったのだろうか? コメの配給を受けていた蝦夷とは誰なのか? どのような「蝦夷」なんだろうか? この当時、都ではあの秀才の菅原道真が『類聚(るいじゅう)国史』という歴史百科を編纂していて、このなかでヤマト国に朝貢してくる集団を「殊俗部」と「風俗部」の二つに分類している。「殊俗部」には朝鮮諸国などの外国が収められ、「風俗部」には隼人・多禰(種子島)・掖玖(屋久島)・吉野の国巣・蝦夷・俘囚など内国(うちつくに)の被征服民が、ヤマト国の中に組み入れるべき存在として扱われている。すでに日本列島の先住民は、国外の異民族扱いされることがなくなっていた。

9世紀末には出羽の国で朝廷側についた俘囚(捕虜蝦夷)と朝廷側につくことを拒み続ける蝦夷(おそらくは北海道島でのちにアイヌと名のるようになる人たち)との間で大規模な戦闘も起きている。また西日本各地に強制移住させた捕虜の蝦夷(俘囚)が反乱をしばしば起こしたので、彼らの出身地である本州島東北部に送り返す政策も採用されたりしている。このときに税金を免除して生活基盤を保証して、辺境警護と水田開発に従事させたという記録が残されているから、生活基盤の保証として、おそらくはコメを配給した可能性もあるだろう。蝦夷(本州島先住民)はコメを水田で大規模に生産し主食とするにはまだ至ってはいなかったのだろう(北米大陸の先住民が小麦粉とその加工品を食べる習慣がなかったように)。朝廷から支給されるコメを習慣的に食べるようになると、言い換えると「コメの依存症」になると、とどのつまり大地と自分をつないでいたスピリットが「日本列島」から引き抜かれてしまうのかもしれませんな。いや冗談ではなく。

小生は人間にスピリットを与えているものは食べ物、それも主食であると信じています。人間は食べたものになるのだと。日本列島とそこに暮らすひとびととのスピリットとをつないでいた食べ物はアワ・ヒエ・そばなどの穀物と魚や鹿だった可能性が高いのではないか。そういえば近年「低糖質ダイエット」といって「糖質」を制限する食事療法があるけれど、やっぱりコメを口にしなくなることが「脱日本人化」のはじまりなんだろうかな。コメの自由化で弥生時代が終焉を迎えたあとも日本国政府ができるだけたくさんのコメを国民に食べさせようとしているのは、あながち農業・農民の保護だけが目的だけじゃなかったりして。くわばらくわばら。今日のお昼は信州のそばでも食べるか。

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Comments

小生は人間にスピリットを与えているものは食べ物、それも主食であると信じています。というのにはかなり同感です。私、10代の頃コンビ二やお弁当ばかりを食べて体調や心まで悪くしていました。最近はそういう食事をまったく食べれなくなり、すこぶる体調がよいです。特に最近は、粉物ばかりを好んで食べます。うどん・そば・お好み焼きなど・・何ででしょうねー?

Posted by: 大盛 良一 | Wednesday, March 02, 2005 at 11:55 PM

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