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Sunday, January 16, 2005

クマに話しかける

日ロイターがインターファクス通信のニュースとして「ロシアのサンクト・ペテルブルクにある動物園のツキノワグマが暖かさのために冬眠から覚め、ヒグマときたらはなから冬眠するつもりもない」と伝えていた。クマは自然の変動に大変敏感な人たちだ。わたしはクマたちのニュースに目がない。というよりクマに対する思い入れが人一倍強い。さらにいうならわたしには彼らを動物だと考えていない節がある。理由は、これまでさんざんクマについての話をネイティブの人たちから聞かされてきたからだし、クマが自分にとってとても大切なメッセージを運んでくる存在だと信じているからである。昨年の秋にたくさんのクマたちが本州の各地で市街地に出没しているときにも、クマたちを弁護する記事をここで書いた。参照「クマたちに声を与えよう」(Saturday, October 23, 2004)。せっかく話がクマのことになったので、クマについての話の中で印象に残っているものをひとつ書いておく。ウエスタン・ショショーニの精神的指導者にしてメディスンマン・ヒーラーであり、地球の声を語るものとして、今もなお地球に作られた核の連鎖を断ち切るべく反核運動の先端に立ち続けて、小生も深く敬愛するコービン・ハーネィ(Corbin Harney)が、あるときクマについてこんなことを語っていた。今年たしか84歳になる彼は、ストーリー・テラーとしても一流であり、以下の話しぶりの一端から単に伝承民話を語るだけがストーリーテリングではないということがわかっていただけるとうれしい。わたしはこうした話を「メディスン・トーク」と呼んでいる。

bearクマというのは大変にありがたい生き物で、わしらはここでずっと一緒に暮らしてきた。「クマに出会ったら、歌を聞かせたり、話しかけたりすると、クマも腰をおろして耳を傾けてくれる」とわしら一族のものはきまってそう言う。わしもクマがそうするのを見たことがある。わしが出会ったときのクマは、ここと、すぐそこにある車ぐらいの距離しか離れてはいなかった。やっこさんは道をこっちに向かって歩いてきたんだ、わしのほうに。いきなりわしらははちあわせしてしまった。こっちもどうしていいかわからない。走って逃げ出そうかどうしようか考えた。で、わしは思った。ここはひとつ大きな声でやつに歌でも聞かせてやったほうがよかろうと。そのときクマのやつが仁王立ちに立ちあがった。とにかく大きなクマだった。いきなり立ちあがったもので、ああもうだめだと、わしは思った。やられると。だがわしはお構いなしに大声でやつに話しかけた。歌もうたって聞かせた。するとやっこさんが地面に腰を下ろしたではないか。だからわしも道の上に腰を下ろした。そうやって腰を下ろしてみると、やっこさんがこっちが必死に話している話を聞いていることがわかった。そしてしばらくすると、クマはまた腰をあげて、そのまま来た道を帰っていった。わしは5分ほどその場に突っ立ってクマを見ていた。そのまま後ろを向いてもと来た山道を駆け上るべきかどうかきめかねてな。で、わしは意を決してクマの後ろについてしばらく歩いてみることにした。やがてクマはそのまま大きな岩の向こう側に姿を消してしまった。まあ、動物というのはそういうものだ。連中もこっちが怖いのだな。だからこちらから話しかけたり、歌を聞かせてやったりすることで、あの人たちとも友だちになれる。そこに立っている木だって同じことだ。歌を聞かせてやればやるほど、どんどん大きく育つ。
コービン・ハーネィ(ウエスタン・ショショーニ)

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