世界はいつ終わるか
1967年にサウスダコタにあるホワイトリバー/ローズバッド居留地において
ジェニー・リーディング・クラウドによって語られた「世界の終わり」についての話
バッドランドというのはラコタの人が「マコ・シカ」と呼ぶとてつもなく荒涼とした美しい大地だ。「マコ・シカ」というラコタの言葉は、そのまま「悪い大地」という意味をなす。そこは間違いなく地球の聖地のひとつであり、秘められているエネルギーは計り知れない。このバッドランドと大平原が接するところに、まだ誰にも知られていない秘密の洞窟があるのだと長く言い伝えられてきた。すぐ近くを州間ハイウエイ90が通り、車に乗った観光客が大挙してやってくるようになった今でも、その洞窟の場所はあきらかにされてはいない。
洞窟には老婆がひとりで暮らしているという。年齢は誰にもわからない。かたいクルミの表面のような深いしわが彼女の顔には刻まれている。白人がやってくる以前のラコタの人たちが着ていたような革のドレスをまとっていて、千年かあるいはそれ以上の長きにわたって、彼女はそこにじっと座り続けたまま、自分のバッファローのローブにつける細長い板布のような刺繍をこしらえているのだ。
白人の交易商人たちが亀の大陸にビーズなるものを持ち込む以前のご先祖さまたちがそうしていたように、色をつけたヤマアラシの棘を織りこみつつ細長い板状のものを作る。かたわらにはつねにシュンカ・サパが、大きな黒い犬が一匹ひかえていて、自分の手をなめたりしながら、じっと老婆を、ヤマアラシの棘をあまりにもたくさん噛みしめてきたためにすり減って歯がほとんどなくなりかけているその顔を、見つめている。その黒くて大きな犬は、けして視線を老婆からはなすことはない。
老婆が腰をおろしてキルトを作る針作業をする場所から数歩ほど離れたところでは、大きな火が燃え続けていた。千年かあるいはもっと以前に、彼女がその火をおこしたのだ。火はそれ以来一度も消されたことはなかった。燃えさかる炎のうえには、白人が鉄の鍋ややかんを持ち込む以前にインディアンたちが使っていたような大きな土鍋がひとつかけられている。土鍋の中では、赤くて、甘くて、おいしいイチゴのスープのウォジャピが、しきりにぐつぐつと音を立てて煮えていた。長い長い時間、さよう、最初にその火がおこされて以来ずっと、そのスープは土鍋の中で煮込まれ続けてきた。
老婆はときおり腰をあげて大きな土鍋の中で煮えているウォジャピをかきまぜた。寄る年波で体力もかなり衰えているから、腰をあげてよぼよぼと火のところまで歩くのも一仕事だった。そして老婆がスープをかき混ぜようと黒くて大きな犬に背中を向けるやいなや、その巨大な黒犬はいきなり彼女の目を盗むように老婆がせっかく作った板布からヤマアラシの棘を引き抜きはじめるのだ。そのために老婆の手作業はとんとはかどらず、いつまでたっても終わることがない。
ラコタの人たちはよくこんなことを言う。その老婆が板布を全部作り終えたそのときに、最後のヤマアラシの棘に糸が通されて布のパターンが全部完成したときに、この世界にも終わりが訪れるのだと。
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