なにもしないことを楽しむ
「なにもしないことを心から楽しめるかどうかで創造力のあるなしがわかる」と、ハワイで昔会ったマオリの人に言われたことがある。ポリネシア全域の部族社会でアメリカインディアンのメディスンマンやメディスンウーマンに匹敵する職能である「カフナ」「タフナ」についていろいろと調べていた10年ほど前のことだ。なるほどなとぼくは感心した。ただ「なにもしない」のではなく、そのことを「心ゆくまま堪能する」のか! ただひとり、どこかに腰をおろして、世界を見ながら、なにも考えたりしないことを考えている。なにも考えないでそのなにもしない時間の中に没入して我を忘れているなんて、まるでストーンした感覚そのもので、こいつはすごいやと思ったのだ。
沙漠の中でひとりで過ごしていたときのことがありありと思い出された。ただならない静けさ、自分の意識が空間いっぱいにまで広がっていく感覚。さらにまた別の時間と空間のことが頭に浮かぶ。秋深い津軽の八甲田山の山奥にあった訪ねる人もない温泉、温泉が川の流れの中にある不思議な場所で、頭の中が川の流れる音でいっぱいになったまま、一人で湯水の中で浮いて漂って空を見ていたとき、こういうときにそういえばいろんな発想がどこからともなくやってきたっけな。クリエイティブな能力が求められる人は、なにもしないことを心から楽しむことができるようにならなくてはならない。なにもしなくていい時間が与えられたときは、なにもしないことを楽しんでいますか? なにもしなくていいことを楽しむことができれば、世界を変えるための発想だってもたらされるかもしれません。
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