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Monday, December 13, 2004

インディアンはニート

たしの古い友人が「すとーんどタイムス(Stoned Times)」という個人新聞をWEBで公開している。ほぼ日刊と謳っているが、ここのところ更新がなかった。なにをしているのか気になっていたところ、ここへきて「ニート・イズ・ビューティフル」という連載記事がはじまった。最初のうちはどうなるのかと興味津々で読んでいたが、2回目になって焦点がはっきりしてきて、読み応えもあるし、吹っ切れたものを感じたので紹介したい。

ニートというのは、最近話題のあの「ニート」のことである。Not in Education, Employment or Training = NEET。「勉強しているわけでもなく、職に就いているわけでもなく、また職業訓練を受けているわけでもない人たち」をさす最近の英国製の流行語だ。近頃ではこれを引きこもりの代名詞のように使う人たちもいる。ニートについて書かれる記事の基本的な論調が、ことごとく「ニートはけしからん」というスタイルで統一されているのに対して、「すとーんどタイムス(Stoned Times)」は果敢にもそれに真っ向から反対する。

主幹であるわが良き友は「ニートは革命的」「ニートはどこもわるくない」「ニートは希望である」「ニートは美しい」と主張する。彼は、国家がことさらにニートを問題視するのは「彼らが税金を払わないからである」と喝破した。国家にとって「税金を払わない人間はほとんど犯罪者に等しい」という考え方が文明世界では通説としてまかり通りはじめている。「三年寝太郎」とか「ものぐさ太郎」といった怠け者の英雄伝説が残るわが国においても、すでにニートを「肩身の狭い存在」にしてしまおうという風潮があちこちに見られる。困ったことではありませんか。

その昔、アメリカのインディアンがアメリカ人になる前の話だが、ヨーロッパからの渡来系の人たちは、インディアンのことを「生来の怠け者」ときめつけて長く長期にわたって批判し続けた。その批判はいまだに続いている。あのインディアンに最大限の理解を示したシートンですら「インディアンは怠け者だ」と書いた。「10マイル行くのに、食事を七回もする」と。狩猟と採集の民であるインディアンには、昔から決められた時間に食事をする風習がなかったので、食べるものがそばにあるなら一度にたくさん食べるのではなく、少しずつ少しずつずーっと連続して食べていると見られても仕方のない日常を送る。また同じように狩猟採集の人たちは、動物や魚を取ったり、木を切り倒したり、草を採集したりするとき以外は、原則としてなにもしない。いや「なにもしないことをする」のである。「DO NOTHING」というのは「なにもしない」のではなく、「NOTHINGを、する」のである。これをタオでは「無為」という。

だがこの人たちだって川で魚をつかまえたり、渚で潮干狩りをしたり、バッファローを狩猟したり、他所の部族の馬を盗みに行ったり、戦をするときには普通の人が想像できないくらいよく体を動かす。ただ、基本的に生活が満ち足りているときには、働いたりしないで家のまわりでごろごろしているから、怠け者と見られることが圧倒的に多いのである。家事や農作業は、基本的には家や財産の所有者である女性たちがするから、よけいにその怠け者ぶりが目立ってしまう。もっとも世界中の少数民族の男性はたいていの場合、どこからかあらわれる文明人によって「怠け者」のレッテルを貼られている。

インディアンと「ニート」の共通点は、ともすると「怠け者」と見られがちなところにあると思う。インディアンは学校における教育をまったく信用していなかった。学校というのは自由を奪うものであり、「国家の奴隷」を作り出すものと見ていた。文字の羅列である知識よりも伝承される知恵にはるかに力点を置く彼らにとっての教育というものがあるとすれば、それは部族の大人たちがどうやって生き残るのかを見てその道を身につけることだった。職業訓練と教育と生き方はみっつでひとつであった。税金を払うために仕事に就くという考え方そのものが、本来怠け者にはふさわしくないのである。国家の網の目から自発的に落ちたものたちが、新しい時代を切り拓くカギを握るとき、時代は変わる。いやすでに時代は変わりつつあるのにまだそれに気が付かない人たち、気が付きたくない人たちが、力を握ってからまわりしているだけなのかもしれないですよね、ミスター・ジョーンズ。

あなたがニートであるなしにかかわらず、「すとーんどタイムス(Stoned Times)」に連載されはじめた「ニート・イズ・ビューティフル」を読んでおこう。大学の卒業を控えて就職のことで悩んでいたりするのならなおさらのことだ。そして生き延びるための道を模索しはじめよう。ニートたちが日本列島のインディアンとしてその汚れなき精神を大地につなぐことができなければ、早晩わたしたちの母なる国は滅ぶしかないのだから。

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