もうひとつのホピの予言
いわゆる「ホピの予言」とされるものにはいくつか別バージョンがある。今回は1959年にメソジスト派と長老派の教会の内部で謄写版印刷されて内部で回覧されていたとされる文書に記されていたもので、1963年にフランク・ウォーターズが『ホピの書』を刊行することではじめて世界に紹介されたものを紹介しておきたい。1993年に刊行された日本語訳「ホピ宇宙からの聖書」(林陽 訳)では、この予言に関してはなぜか割愛されているようである。(わたしは徳間書店版の「ホピの書」のあまりよい読者ではないので、もしかしたら翻訳されているのかもしれないが)
このホピの予言は、ホワイト・フェザーと名乗った人物が語った「もうひとつのホピの予言」とされるものだ。説明によれば1968年のある暑い夏の日、デイビツド・ヤングという名前のひとりの聖職者が焼けつくような沙漠のハイウエイを車で走らせていたときのこと、ひとりのインディアンのエルダーが道を歩いているのを見つけて、彼に同乗を勧めたという。老人はひとつうなづいて車に乗り込んだ。それからしばらくインディアンの老人は黙したままだったが、やがてあるとき口を開いて「自分はホワイト・フェザーという名前だ。ホピの古代熊氏族に属する」と語りはじめた。
ホワイト・フェザーは、ホピの言い伝えを信じてこれまで北米大陸の各地を「兄弟」をもとめて旅をして歩いてきたと語った。「いろいろにところでいろいろな人から学びたくさんの知恵を得た。一族の聖なる道を踏み外すことなく遠方まで旅をして、東の森で暮らす人たち、たくさんの湖で生きる人たち、北の氷に閉ざされた長い夜の土地に暮らす人たち、南にあるはるか昔に兄弟の父たちによって建造された石造りの祭壇を持つ人たちの土地を訪れた。そうした土地の行く先々で彼は過去の話を聞き未来に起こる予言を確かめた。今では予言とされるものの大半は過去の物語に姿を変えていて、残されているものはわずかであり、過去は日に日に長く、未来は日に日に短くなっている」と。
「そして今自分は死につつある」と彼は続けた。「息子たちはみな祖先の仲間入りを果たし、自分もやがては彼らのところに行くだろう。残念なのは自分が学んで暗唱した古代の知恵を伝える人間がひとりも残されていないことだ。わが一族のものたちは昔の生き方にへきへきしていて、自分たちの起源を伝える偉大な儀式にも、第四の世界への出現を伝える儀式にも飽きてしまい、あらかじめ予言されてはいたというものの、ほとんどうち捨てたまま顧みることもなくなってしまった。残された時間はわずかしかない」
「わが一族はパハンナを、行方知らずの白い兄弟を待ち続けた。彼はわれわれが知っているような残虐で強欲な白人ではないだろう。彼の到来はずっと昔からいわれ続けた。そして今なおわしらは彼を待ち望んでいる」
「彼はシンボルを手にして現れることだろう。ホピの長老たちが守っている聖なる石版の欠けている部分も、彼は持ってくる。別れ別れになる前にそれは彼らに手渡されたものなのだ。その石版こそが、彼らが真の白い兄弟である動かぬ証拠なのだ」
「今の四番目の世界はまもなく終わることになるだろう。そして第五の世界がはじまる。各地のエルダーとされる人たちはみなこの事実を知っている。新しい世界の到来を告げる御しるしはこれまでにいくつか確認され、残された御しるしもあとわずかだ」
最初の、第一の御しるし われわれに伝えられているのはパハンナのごとき白い肌の人たちの到来。この人たちはパハンナのように生きることはなく、自分たちのものでもない大地を取りあげて、敵を稲妻で打ちのめす。第二の御しるし たくさんの声とともに回転する車輪が訪れるのをわれわれの大地は目撃する。
第三の御しるし 大きくて長い角をつけたバッファローのような奇妙な獣が無数にこの大地にあふれかえる。
第四の御しるし 大地を縦横に走りぬける鉄の蛇たち。
第五の御しるし 巨大な蜘蛛の巣が大地の隅々までを覆い尽くす。
第六の御しるし 描かれた太陽のごとく無数の石の河が縦横に走り巡らされた大地。
第七の御しるし 海の水が黒くかわり、そのことでたくさんの命が失われたとの風の知らせ。
第八の御しるし 一族の者のごとく髪を長く伸ばした多くの若者たちがやってきて部族の国々に加わり、生き方や知恵を学ぶ姿を目撃する。
そして最後の、第九の御しるし 天界の居住施設が大音声とともに落下して地表に激突。青き星が姿を現し、そのあとをおいかけるようにホピの人たちの儀式が止むとき。
「このようなしるしとともにとてつもない破壊の時が訪れる。世界は前に後ろにと激しく揺り動くだろう。白い人たちは他の土地のーー最初の知恵の光を所有するーー人たちを相手に戦うことになる。ここからさほど遠くない沙漠で白人が引き起こしたような、幾本もの煙と炎の柱が立ちのぼる。ホピの場所にとどまり暮らしているものの安全は保たれるだろう。そしてつぎに再建の時がようやく訪れる。そしてじきに、再建の時がやってきたあとすぐに、パハンナが帰ってくる。彼は第五番目の世界の夜明けを運んでくるだろう。われわれの心の中に彼の知恵の種を植えつけることだろう。種は必ず植えつけられることになっている。その知恵が五番目の世界への移行を円滑なものとするだろう」
「だがわたし、ホワイト・フェザーは五番目の世界を見ることはなかろう。なにぶんわたしは歳だし、死にかけてもいる。おそらく、あなたなら、あなたなら、それを見ることができるやもしれない」
その年老いたインディアンはそこまで語ったあとはもう口を開くことはなかった。ふたりを乗せた車は彼の目的地に到着し、そこで牧師は老人と別れた。デイビッド・ヤングはわざわざ車を降りて老人が車から降りるのに手を貸している。ふたりはその後二度と会うことはなかった。デイビッド・ヤング牧師は1976年にこの世を去っている。彼もこのホワイト・フェザーというホピの老人が伝えた予言が成就するのを目撃することはなかった。
ここでそれぞれの御しるしについて、少し解説を加えておこう。これはあくまでもひとつの解釈であることを前もってお断りしておくけれど、まず第一の御しるしは「鉄砲の到来」とされる。第二の御しるしは「開拓者たちの幌馬車」。第三の御しるしは「ロングホーン種の牛」。第四の御しるしは「鉄道線路」。第五番目の御しるしは「電気・電話線」。第六の御しるしは「コンクリートのハイウエイ」。第七の御しるしは「重油による海洋汚染」。「第八の御しるしは「60年代末から70年代に欠けてのヒッピー運動」。第九の御しるしは「宇宙ステーション」か? そういえば1979年にスカイラブが墜落しているが、その程度の墜落ではないかもしれないな。
いずれにせよ「青い星のカチーナが天界にその姿を現したとき、第五番目の世界が出現する」とホピの古代熊氏族に属したホワイト・フェザーが伝えた予言では、「浄化の日」はそのようにはじまることになっている。ホピの人たちは「犬狼星(ドッグ・スター)シリウス」を「青い星のカチーナ」と呼んできた。ホピの言葉で「サクアソフー」とされる「青い星」、そのカチーナが広場で踊って、そして仮面をはずしたとき、浄化の日も訪れるのだ。
それが明日でないと誰が言えるだろうか?
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Comments
最近、ユダヤ(白人の、偽者の)人達がしきりに太陽の脇に隠れている緑色の星の話をしている彼らは星のことをヤハウェと呼んでいる。
彼らがいうようにこの温暖化の真の原因は、とどまるところを知らない太陽活動の極大化(周期的には2002年にピークを迎えるはずであったが、今なおその勢いはとどまらない。NASAのデータでも地球以外の惑星表面の温度上昇が確認済み)にあるのであろうか?
もしそうならば、彼らの言うとおり極大化→収束→氷河期の流れはあるかもしれません。
このもうすぐ見えるであろう直交する星・蒼き星がホッピのいうモノでないことをねがう。
次の辛酉の年は2041、旧9・10月でかつ8・18日に辛酉の日がある今年、立秋から冬までは要注意。
子の年間中で前後10年。
Posted by: 瑞兆 | Friday, June 27, 2008 01:37 PM