働く人間は夢を見れない
「神はこういわれた。自分は人びとの父親であり、地球は母親であると。自然が法であり、動物も、魚も、植物も、自然に従う。ひとり罪作りなのは人間だけであると。それこそが昔からの法である」——ワナパム(Wanapum)一族の予言者であり夢見人(シャーマン)として宗教指導者だったスモハラの言葉
スモハラは1815年頃に生まれて1895年に没した。ワナパムは北西太平洋から内陸に向かうコロンビア川の上流の高原に暮らしていた川の人たち。地図上でいうとワシントン州にあり、オレゴン州との州境に近いワラ・ワラ(Walla Walla)のあたり。ワナパムのシャーマンの役割は、普通は川をいつ鮭たちが遡上してくるかを予知したり、肥沃な土地がどこにあるかを察知したりするものだったが、彼の場合は地震がいつ起きるかとか、日食までもを予知したという。スモハラは彼に従う一族のものたちに白人のように働くことをたびたび戒めた。捕まえた魚たちや、狩りの獲物、棒で掘り出したゆり根などは、労働の成果ではなく、自然からの贈り物なのだと彼は言った。「働く人間は夢を見れない。知恵は夢の中でわれわれにもたらされるのだ」と。
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Comments
スモハラのことを、こちらのブログではじめて知りました。
最後の一言は強烈に印象的でした。確かに、働いてばかりいると、心の余裕がなくなり、思考も鈍りますね。
近代産業文明的な勤勉道徳は絶対ではないと思います。
近年、NEETといって働いたり勉強したりしない人が道徳的に問題のあるグループとして目をつけられています。また、失業が倫理的な悪として糾弾される傾向もあります。
人が人として生きてゆくために、これ以上勤勉に生産性のために生きねばならないのか、真剣に問い直さなければなりません。
そのことを考えるのにヒントになる、謙虚で偉大な言葉を紹介してくださり、どうもありがとうございます_(_)_。
Posted by: ぱれいしあ | Sunday, October 03, 2004 05:30 PM
スモハラの頭の中では、魚を釣ったり、狩りをしたり、木の根を掘ったりすることは「労働」として認識されていないということなのですね。ではなんと認識されていたのか? 「遊び」というのがひとつの答えではあるけれど、それだけでは伝えきれないような。「遊びをせんとやうまれけむ」という有名な言葉もあるにはあったが。自然の贈り物で生きていけた時代がつい昨日まで続いていたのですね。
Posted by: 北山耕平 | Sunday, October 03, 2004 07:04 PM