ミラクルが亡くなりました
アメリカ・インディアンにとって平和のシンボルだったあの白いバッファローのミラクルが、去る9月23日の夜11時07分に、ウィスコンシン州ジェーンズヴィルのハイダー牧場で息を引き取ったそうです。
ミラクルの世話をしてきたデイブ・ハイダー氏によれば、ミラクルは9月17日(金曜日)に体調を崩し、餌をまったく食べなくなり、やがて眠ったように動かなくなったとか。
医者がつきっきりでそれから一週間看護をしましたが、彼女の命を救うことはできませんでした。
「とても彼女が病気だとは思えませんでした。まるで眠って体を休めているようでとても平和そうに見えました」とハイダー氏。氏と医者のふたりがミラクルの臨終に立ち会った。死因はわかっていない。遺体を解剖して死因を突き止めることはできるが、それをすることがふさわしいとは思えないという理由で、解剖はされなかった。
ハイダー氏は言う。「本当になにが彼女に起きたのかわからない。生まれてからずっと体は小さかったけれど」
ミラクルの遺体は墓標のない墓に埋葬された。ハイダー氏はいずれ時がきたらミラクルを追悼する会を開きたいと言っているが、日時はまだ決まっていない。
戦争の時代の希望が失われた
ミラクルは1994年の8月20日に誕生した。彼女は1933年以来はじめて生まれた全身が真っ白いバッファローだった。ラコタ一族の言い伝えによれば、女性の白いバッファローは、地球の人びとに平和と理解の時代のはじまりを告げるために帰ってくるとされていた。
これまで、アメリカ・インディアンだけでなく、アフリカのマサイの人たち、メキシコのアズテクの人たち、オーストラリアのアボリジニーの人たちを含む300を超える地球各地の先住の部族の人たちがミラクルに会うためにハイダー牧場を訪れている。予言にあるように、彼女はその間、白、黒、赤、黄と四回体毛の色を変化させてきた。それは地球に生きる肌の色の違うすべての人たちを象徴していた。
ミラクルはこの十年の間に3人の娘をもうけた。それぞれ「ミレニウム」「レディ・ミラクル」「ミタクェ・オヤシン(ナコタの言葉で「聖なる輪のなかでひとつにつながる」の意味)」と名付けられている。
つい8月には300人の人たちがハイダー牧場を訪れて、「戦争の時代の希望」である彼女の10歳の誕生日を祝ったばかりだった。
「スーの言い伝えにはミラクルが死ぬなどと言うことは出てきません。普通バッファローは25年から30年は生きるものなのに」とハイダー氏は語った。「自分の手で触れることができないくらい遠くに住む人たちがこれほど彼女のことを愛してくれたなんていまだに信じられません。ミラクルは最後まで人に馴れることはありませんでした。基本的に野生のままでした。なんと説明したらよいのかわからないのですが、わたしにとっては親しい友だちか身内がひとり亡くなったような感じです」
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