立ち上がって戦うのが当たり前
Up in arms
ユタ州の最高裁判所が人種の如何を問わずネイティブ・アメリカン・チャーチの信者がペヨーテ peyote を使用するのを承認したとする判決を下したというニュースを7月5日にお伝えしたが、ここへきて連邦政府がこの件に介入する動きを見せはじめたようだ。ソルト・レイク・トリビューン紙が伝えている。
この6月、ユタ州の最高裁判所はネイティブ・アメリカン・チャーチのあらゆるメンバーが儀式のなかでペヨーテ peyote を使用をすることを事実上承認した。その結果、州の段階では地方のメディスンマンであるジェームス・ムーニーおよび彼の妻、リンダに対しての罪状は取り消されることになった。しかし中央政府の検察官はその後もカップルの後を追いかけて、今度は彼が部分的にアメリカインディアンであるというジェームス・ムーニー自らの主張にその矛先を向けはじめた。
8月20日、オクレヴェハ(Oklevueha) Earthwalks ネイティブ・アメリカン・チャーチの創設者であるムーニーに送られた手紙のなかでポール・ワーナー検察官は、州の最高裁判所の判決によって連邦政府検察官が縛られることはないむねを通告した。「当方は連邦法による貴兄らの訴追を考慮している」と手紙は言っている。
ワーナーの事務所は手紙の内容についてコメントすることを拒絶した。ジェームス・ムーニーおよびネイティブ・アメリカン・チャーチの代理人であるキャサリン・コラードは記者会見を開き席上その手紙について「常軌を逸している」と非難。「これこそ卑劣な精神のあらわれであり、ユタ州の最高裁判所の判決をないがしろにするものです」と彼女は言った。「これは連邦政府の法律が州法に優先するような領域ではありません。彼らのやっていることは嫌がらせ以外のなにものでもなく、宗教的迫害であり、即座に停止するべきものです」
ユタ州最高裁判所は、判決においてジェームス・ムーニーと彼のオクレヴェハ(Oklevueha)教会とを支持して満場一致の判決を下し、2000年10月の警察の家宅捜査によって1万2000個のペヨーテ・ボタンを押収されたことによる1ダースもの一級犯罪容疑をことごとく棄却した。1970年に通過した法律でペヨーテに関しては連邦法から離れ、それぞれの州の法律に組み込まれていたのである。
何百ものアメリカおよびカナダの他のネイティブ・アメリカン・チャーチの支部教会と同じように、オクレヴェハ(Oklevueha)、つまりセミノールの言葉で「遮ることのできない川の流れ」教会においても、ペヨーテを聖なるものとして、聖餐として、崇拝する。ムーニーによれば、その手紙が届けられたときも、まさにペヨーテを食べるための準備を教会の信者たちとともにしているときのことだつたそうだ。彼はそれを「怖じけつかせるための作戦」といい。そのことで家族のための法廷闘争が個人的に難しくなっていると語った。
「連中は私と私の妻を終身刑にしたいだけなのだ。私がなにをしたと言う? やったことは人助けでしかないのに」
今年で60歳になるジェームス・ムーニーはそう言うと、アメリカ・インデイアンの宗教はこの大陸において数千年間実践されてきているのにとつけ加えた。
ユタ州の最高裁判所がくだした、人種を問わずネイティブ・アメリカン・チャーチの信者による宗教儀式におけるペヨーテの使用は合法とする判決にもかかわらず、連邦政府の当局者はあくまでもそれを「連邦法が認めるところの部族に属するインディアン」という言葉の定義を盾に州最高裁の判決に抗しようとしているのである。
ムーニーによれば連邦控訴審裁判所は論争を拒絶した。彼は自ら4分の1のセミノール(Seminole)であると主張するが、登録されている部族のメンバーでない。
ユタ郡保安官補がベンジャミンにある6エーカーの敷地を持つ教会の家宅捜査を行う以前、ムーニーの教会の信者は200人から300人だった。彼は儀式に使うサボテンをテキサスから仕入れていた。テキサスではサボテンの所持も販売も違法ではない。
記者会見の席上、キャサリン・コラード代理人はすべてのユタ州の宗教および教会の関係者に支援を要請した。
「いかなる宗教であれ、自分たちの信ずる聖体に関わるものであれば、立ち上がって戦うのが当然ではありませんか」
*図版は「ペヨーテ・スピリット」と題された絵。コロラドにあるフオート・ルイス大学民族植物学データベースより。●Cool Runnings Music Native American Church Songs(ネイティブ・アメリカン・チャーチで使われる音楽を集めたサイト。MP3 で試聴することもできる)
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