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Tuesday, August 17, 2004

チェロキーの生きる世界 #3

Cultural Tidbits from the Cherokee Nation

太古より伝統的なチェロキー(ツァラギ)が動物界で最高の精神性に到達しうるフクロウとクーガーにたいして特別な敬意を払っていたことはすでに書いた。いくつかの異なるバージョンのチェロキーの創世神話においてもフクロウとクーガーは輝かしい存在として描かれている。万物創造の七日七晩のあいだ一度たりとも眠ることなく覚醒していられたのはフクロウとクーガーだけだった。ほかの生き物たちは皆眠りに落ちてしまう。ご存知のようにフクロウとクーガーが夜間に活動する習性を持たされている理由もそこにあるし、同じ理由で両者ともに夜の闇のなかで見えるだけの視力を持たされているとされる。フクロウは外見上はほかの鳥たちとは一線を画していて、その歩く姿はまるで人間の年寄りのようでもあるし、頭の羽がフワフワと逆立っているそのシルエットのせいで、しばしば猫にも見間違えられたりする。夜行性という点、夜に目が見えるという点ではクーガーはフクロウの兄弟といってもいい。フクロウの二つの目はとても大きく、人間のように顔の正面にその目はついていて、その目を片方ずつ閉じたり開けたりすることができるのだ。クーガーは動物界で、人間の女性のような甲高い叫び声を発することのできるただひとつの存在である。大変に秘密めかした行動形態をとり、その動きは予想だにつかない。松、杉(シダー)、トウヒ、ヒイラギ、そしてローレルは、どれも常緑樹で、一年を通して葉を保ち続ける。これらの植物たちもまた万物が創造された七日七晩のあいだ覚醒し続けて眠ることはなかったとされる。そしてそれがためにこれらの木々には特別な力が与えられており、チェロキーのメディスンと儀式においては、最も重要な植物とされているのである。

※チェロキーの創世神話は、地球が水に覆われていた時代からはじまっている。そして一匹のゲンゴロウ虫が海の底から陸地を引っ張りあげてきたとされる。動物と植物がその陸地(地球)の監視がまかされたが、最初の七日七晩のあいだ眠らずに起きていたのがフクロウとクーガー(一説ではパンサーとも)と、松や杉やひいらぎやローレルだった。

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