本屋に読みたい本がないとお嘆きのあなたに
去る16日の青山ブックセンター(ABC)の突然の倒産による閉店は、悲しい出来事でした。わたしにとってABCは六本木の麻布警察のそばの店が最も思い出深い場所です。昔、十数年前、東京の南青山で、友人の長野真とフライコミュニケーションズという会社をやっていたことがあり、会社から一番近くて深夜まで営業しているABCに、開店して間もないころのABCに、よく出かけました。
『ネイティブ・マインド---アメリカ・インディアンの目で世界を見る』(地湧社刊 1988)という本をだした当時、ネイティブ・ピープルについての本はそれほど多くもなくて、まだまとまって陳列されることもなく、ばらばらに歴史や文化や文学の棚に埋没していました。『ネイテイブ・マインド』をわたしが知るかぎりよく目立つところにおいてくれて、のちに「ネイティブ関連の書籍」の棚を最初に作ってくれたのが、他ならぬABCでした。今ではかなりの---とはいっても少ないことに変わりはないのですが---そこそこの数の書店が、アメリカ・インディアンの書籍の棚を設けてくれるようになってはいます。
書店にとって必要なのは、旧態依然たる分類に基づいた陳列ではなく、その店独自の判断に準拠した分類ではないかとの思いを強くわたしはもっています。たとえば今はまだ小さいかもしれないけれど、「TOKYO RANDOM WALK」という書店が、神田神保町、赤坂などにありますが、ここは次世代の書店になる可能性が伝わってくる珍しい店で、今のところ東京を散歩するときのお気にいりではあります。普通の街の書店に入る楽しみがなくなってしまったのは、きっとどの店もおなじような本----漫画、三文小説、ベストセラー、雑誌----を同じように並べて売っているように思えてしまうからでしょうか。
最近は「面白い本が見つからない」という嘆きの声をよく耳にします。わたしにとって本は常になにかの「道具」でしたし、これからもそうでしょう。でそこでわたしがこれまでに手にした本という道具のなかで、みんなにすすめたいと思ったものを、今回は第一弾ということで、かなりまとめてリストアップしてみました。これらの本は多分普通の町の書店では棚にもはいっていない本たちばかりだと思われますが、すくなくてもこのBLOGを読みにきてくれている兄弟や姉妹たちには、読まれれば得るものが多いだろうし、あるいはすでになかの幾冊かはお持ちになっているものがあるかもしれません。夏休みで時間がたくさんとれる時などに、自分の頭と心を耕すために読んでみてください。おすすめです。
▼本屋には読みたい本がないとお嘆きのあなたのためのブック・リスト #01
※並んでいる順番はおすすめの順位と関係がありません。小説、評論、報告、論文、対談などさまざまにありますが、地球に生きるネイティブであるとはどういうことかをそれぞれ考えさせてくれるものばかりです。それぞれの本は、アマゾン書店の該当ページにリンクを貼りつけてありますので、ご活用ください。なかには絶版のものや、現在入手困難なものもありますが、ネット古書店などで探せばまだまだ入手できるものばかりです。なおリストのなかには北山の著書・訳書はふくめておりません。それらについては本ページ左側の「著書と翻訳書」からどうぞ。
【ネイティブであることを学びなおすための27冊の本】
●ホピ神との契約—大地といのちの護りびと
トーマス・E.マイルズ (著), ダン・エヴェヘマ (著), 林 陽 (訳)
価格: ¥1,890 (税込)出版社: 徳間書店 ;(2001/03)
●先住民族-地球環境の危機を語る 世界人権問題叢書 (9)
インター・プレス・サービス, 清水 知久
価格: ¥2,625 (税込)出版社: 明石書店 ;(1993/10)
●トリックスター 晶文全書
ポール・ラディン (著), 皆河 宗一 (訳)
価格: ¥2,940 (税込)出版社: 晶文社 ;(1974/01)
●アメリカ先住民の神話伝説 (上)(下)
R・アードス, A・オルティス(著), 松浦 俊輔 (訳)
価格上下共:¥2,730(税込)出版社: 青土社 ; 上 巻 (1997/04); 下 巻 (1997/04)
●籠女(かごおんな):子どものための風変わりなストーリーテリング集
メアリー・オースティン(著) だいこくかずえ(訳)E.ボイド・スミス(画)
価格:¥1,890 (税込)出版社:葉っぱの坑夫 ; (2004/02/23)
●コヨーテ老人とともに—アメリカインディアンの旅物語 世界傑作童話シリーズ
ジェイム・デ アングロ (著), 山尾 三省 (訳),
価格: ¥1,529 (税込) 出版社: 福音館書店 ; (1992/06)
●クマとアメリカ・インディアンの暮らし
デイヴィッド ロックウェル (著), 小林 正佳 (訳)
価格: ¥2,940 (税込)出版社: どうぶつ社 ;(2001/02)
●オオカミと人間
バリー・ホルスタン・ロペス (著), 中村 妙子 (訳), 岩原 明子 (訳)
価格: ¥2,854(税込) 出版社: 草思社 ;(1984/01)
●インディアン・カントリー−−土地と文化についての主張〈上〉〈下〉
ピーター・マシーセン(著),沢西康史(訳) シリーズ先住民の叡智
価格上下共:¥2,100 (税込)出版社:中央アート出版社 ; (2003/05)
●イシ 二つの世界に生きたインディアンの物語
シオドーラ・クローバー(著) 中野好夫(訳) 中村妙子(訳)
価格:¥2,800〔税別〕ハードカバー 283p 出版社:岩波書店 ; (1977/09)
●イシ 北米最後の野生インディアン
シオドーラ・クローバー(著) 行方昭夫(訳)
価格:¥1,200 〔税別〕出版社:岩波書店 同時代ライブラリー80 (2003/11)
●セブンアローズ〔全3巻〕 聖なる輪の教え ¥2,310 (税込) 187p
出版社: 地湧社 ; 1 巻 (1992/05)
心の目をひらく旅 ¥2,415 (税込) 219p
出版社: 地湧社 ; 2 巻 (1992/08)
よみがえる魂の物語 ¥2,625(税込) 241p
出版社: 地湧社 ; 3 巻 (1992/12)
ヘェメヨースツ・ストーム (著), 阿部 珠理(訳) 出版社: 地湧社
●母なる風の教え
ベア・ハート モリー・ラーキン(著) 児玉敦子(訳)
価格:¥2,310 (税込)292p ハードカバー 出版社: 講談社 ; (2000/12)
●ブラック・エルクは語る BLACK ELK SPEAKS
ジョン・G・ナイハルト(著) 阿部珠理 (監修) 宮下嶺夫(訳)
価格:¥1,890 (税込)四六版312p 出版社: めるくまーる ;(2001/07)
●マルコス・ここは世界の片隅なのか—グローバリゼーションをめぐる対話
イグナシオ ラモネ (著),湯川 順夫 (訳)
価格: ¥1,680 (税込)出版社: 現代企画室 ;(2002/09)
●儀式
レスリー・M・シルコワ(著) 荒このみ (訳)
価格:¥1,300〔税別〕文庫本ソフトカバー 出版社: 講談社文芸文庫 ; (1998/01)
●ローン・レンジャーとトント、天国で殴り合う 海外文学セレクション
シャーマン アレクシー (著), 金原 瑞人, 小川 美紀 (訳)
価格:¥1,785(税込)ソフトカバー 出版社: 東京創元社 ; (1999/03)
●インディアン・キラー 海外文学セレクション
シャーマン アレクシー (著), 金原 瑞人 (訳)
価格: ¥2,415(税込)ソフトカバー 出版社: 東京創元社 ; (1999/01)
●リザベーション・ブルース 海外文学セレクション
シャーマン アレクシー (著), 金原 瑞人 (訳)
価格: ¥2,100(税込)ソフトカバー 出版社: 東京創元社 ; (1998/11)
●爆破—モンキーレンチギャング
エドワード・アビー (著), 片岡 夏実 (訳)
価格: ¥2,520 (税込)出版社: 築地書館 ; (2001/05)
●砂の楽園 DESERT SOLITAIRE
エドワード・アビー (著), 越智 道雄 (訳)
価格: ¥2,957 (税込)出版社: 東京書籍 ; (1993/09)
●荒野、わが故郷 THE JOURNEY HOME
エドワード・アビー (著), 野田 研一 (訳)
価格: ¥2,548 (税込)出版社: 宝島社 ; (1995/08)
●荒野へ
ジョン・クラカワー (著), 佐宗 鈴夫 (訳)
価格: ¥2,100 (税込)出版社: 集英社 ; (1997/04)
●雨の匂いのする沙漠 アメリカ・ナチュラリスト傑作選
G・P・ナブハン (著), 小梨 直(訳)
価格: ¥2,243 (税込)出版社: 白水社 ;(1995/04)
●神話の力
ジョーゼフ キャンベル (著), ビル モイヤーズ (著), 飛田 茂雄 (訳)
価格: ¥3,150 (税込)出版社: 早川書房 ; (1992/07)
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Comments
北山耕平さんがフライ・コミュニケーション時代に編集され、parco出版から出された「pink colors」を手にしたことは僕にとって幸せな出来事でした。情熱の赤と純潔の白が会わせ混ざったピンクの詩と写真の美しさは、是非とも手元に置いておきたい1冊なのですが、沖縄のとある喫茶店で目にしたきりで、なんとか入手できないものかと思案しています。
Posted by: 新垣宏 | Tuesday, December 13, 2005 10:32 AM
新垣宏さま どうもです。せっかく気に入ってもらえてうれしいのですが、あの本は長野真(南風椎)と白谷敏夫(デザイナー)の作品なのです。パルコ出版が発行部数詐称というやってはならない掟破りをしたために、フライと争いになり、そのあおりを食らって、フライ側がカラーズのシリーズを生産差し止め、パルコ出版は悪いことは出来ないもので結局解散と言うことになっています。醜い争いをぼくは側で見せてもらっていただけなのです。長野真はたいへん苦労して、このシリーズをもう一度世に出そうとしていますし、出版社も関心を示すところがないわけではないらしいので、いつかまた刊行されるかもしれません。ぼくがフライでつくらせてもらった本の最後は「アップル宣言」というほんだつたかな。思えばフライというクリエイティブ組織は、なかなかの仕事をしていましたっけ。編集室が青山にあったけれど、フライは横浜の鶴見に移転しちゃつたので、ずいぶん青山には行っていません。変わったのだろうなぁ。というわけで、夢を壊しちゃったかな?
Posted by: Kitayama "Smiling Cloud" Kohei | Wednesday, December 14, 2005 09:59 PM