北極で今なにが起きているか
アラスカ北東部からカナダの北西部にかけて広がる先住民族グウィチン人の国( The Gwichユin Nation )のひとびと----正確には「グウィッチィン・アサバスカン・インディアン」と呼ばれるひとたち----が、石油の利権に目のないジョージ・W・ブッシュに率(ひき)いられる合衆国政府による大規模な油田開発によって、カリブーや渡り鳥やホッキョクグマに代表されるあらゆる生命のはじまる場所といわれているその聖なる大地から立ち退きを求められている。石油会社は沙漠の下に眠る石油と一緒に、凍土の下にある石油も同時に狙っているといわれているが、合衆国地質調査所はそれでもアラスカのこの地域からは「今後十年間のうちにアメリカ人が使う石油の六か月分ぐらいしか供給できないだろう」という報告を提出している。だが太古以来、全生活をこの聖なる生態系(主にカリブー)に依存してきたグウィチンの人たちにとって、この地域を手放すことは死ねといわれているにひとしい。グウィチンは、すでに地球から姿をあらかた消した太古の生活スタイルと文化とを今に伝える数少ない人たちであり、彼らは今世界中の心ある人たちに、自分たちとアメリカ合衆国との生存を賭けた闘いを支援してくれるように求めている。コロンブスが来たときにはじまった戦争がここではまだ続いている。
「神話的な時間のなかでは、グウィッチィンとカリブーは仲良く平和に暮らしてきた。すべてのカリブーが人間のハートを少しだけ持っていて、すべての人間がカリブーのハートを持っていると言われている」
------グウィッチィンの長老
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