地球はていねいに扱うべし
ネイティブ・アメリカンのことを狩猟採集の人たちと思いこんでいる人たちが多い。海の人たちや川の人たちや草原の人たちは、狩猟や漁撈に重点を置いていたことは間違いないが、それでもほとんどすべてで農耕がおこなわれていたという事実を知ってほしいと思う。われわれが口にする野菜や果物の多くがネイティブ・アメリカンの農耕に起源を持っている。ヨーロッパから逃げ出して亀の島であるアメリカ大陸にわたった人たちに農耕の技術を教えたのは他ならぬ東部森林地帯のインディアンたちだった。
アメリカがイギリスから独立したころの偉人にトーマス・ジェファーソンという人物がいる。彼は第三代目の合衆国大統領になった人物で、その彼が「世界でいちばん優れた農民」と評したのが、ジェームス・マディソン(James Madison)という人。たまたま別の機会に世界の農業の歴史を調べていて、この人物に興味を持っていたら「ジェームス・マディソン博物館」というのがあることがわかった。アメリカ開拓当時の暮らしを今に伝えるようなものが並べられているが、そこに「ジェームス・マディソン博物館農業館」というのがあり、そこのホームページの、アメリカの農業の歴史のはじまりは「ネイティブ・アメリカンの農業」とされている。そこを見ると初期の移民たちが先住民の農業に真剣に学ぼうとしていたことがわかる。
冒頭に、次のようなネイテイブ・ピープルの言葉が引用されている。
「土地(地球)はていねいに扱うこと。それは
あなたの両親からあなたに贈られたものではあ
りません。それはあなたの子どもたちからあな
たに貸し与えられているものなのですから。わ
れわれは土地(地球)を先祖から引き継いだり
はしません。われわれは土地(地球)を子ども
たちから借り受けているのです」
誰が言ったものかは記録されていないのでわからないけれど、これは有名な言葉で、とくに冒頭の「土地(地球)はていねいに扱うこと(Treat the earth well)」はかつてアースデイ(4月22日)の標語にもされたことがあった。この「ジェームス・マディソン博物館農業館」の「ネイテイブ・アメリカン」のセクションには、彼らが以下に入植者たちに農業を教えるのに貢献したかが書き記されている。とりわけ「トウモロコシ」の存在を伝え、その栽培の仕方を伝授してくれたことが最大の貢献であるとしたうえで、「土地をやせ衰えさせないためにさまざまな作物を順番に換えていく輪作の技術」も入植者に教えた。ネイテイブ・アメリカンは自分の身の回りにある自然の素材を活用する素晴らしい知識を有しており、入植者たちに食べ物のこと、薬になる植物のこと、染め物のことなどを教えた。そうした情報は入植者たちにとっては極めて重要なものであり、そのおかけで一人前の農民になることができたのである」としている。
ネイテイブ・アメリカンの「農業技術」については、明日紹介しよう。
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