ネイテイブ・ノース・アメリカ(亀の島)最大の農耕文明遺跡
ミシシッピ河がミズーリ河とわかれるイリノイ州の南(北緯38° 39' 31" 西経90° 03' 41")に、ヨーロッパからの渡来人がやってくるはるか前、人口2万人ほどの「先住民都市国家」があったことがわかっています。メキシコの以北の「亀の島(先住民による北米大陸の古い呼び名)」では、最大の「都市」とされるもので、今から1400年ほど前から太陽信仰に基づいて都市計画がはじまり、600年後の12世紀ごろには120ほどのピラミッド状の大きな塚が構築されていました。(下の図は1150年ごろのカホキアの想像図)
16世紀にこの都市文明の遺跡が発見されて、その頃周辺で暮らしていた先住民の名前をとって「カホキア」と遺跡は呼ばれています。カホキア土塁群(Cahokia Mounds, the)と呼ばれる遺跡の案内には「メキシコ以北の先史ネイティブ文明において最も洗練された文明の遺跡」と謳われていたりします。なかでもピラミッドのうちで最大のものは「僧の土塁(Monk’s Mound)」と呼ばれるもので、19世紀にテラピスト修道院の僧たちがこのピラミッドの最下部のテラス状の土地で畑をつくっていたためにそう呼ばれているのですが、そのピラミッドはエジプトの最大のピラミッドよりも大きなものです。
この「僧の土塁(Monk’s Mound)」の西側数百メートルのところにイギリスのストーンヘンジになぞらえて「ウッドヘンジ」と名づけられた農耕カレンダーとされる遺跡があります。1000年ほど前に建造されたものの遺跡で、太い木の柱を最初は24本で大きな直径123メートルの円形に並べて作り、次ぎは36本、その次ぎには48本、60本、72本という具合に、数十年ごとに、円のまわりを囲む柱の数が増えていくのです。円の中心にはもっとも太くて長い御柱が建てられていました。これは後の研究からとてつもなく大きな太陽カレンダーであることがわかっています。季節のうつろいを確認し、太陽の動き方を知るためのカレンダーは、農耕のために使われたものなのです。カホキアの遺跡の出土品から、極めて多様な作物が栽培されていて、食物が豊富にあったことがわかっています。
このカホキア都市文明を築いた人たちがその後どういう運命をたどってどこへ消えたのか、それはまだわかっていません。燃料や家や建築物として周辺の樹木に依存しすぎたために、木がなくなるのと一緒に文明も崩壊したという説もありますし、大雨によって畑もろとも流されたという説もあるのですが、確定されてはいません。ともあれ、このカホキアが情報と「もの」の基地となり、新しい種類の種と農業が亀の島の全域に伝搬していったことは間違いがなさそうなのです。
いすれにしたところでカホキア遺跡は、作物がたくさん収穫できて食料が豊富なところで国が栄えるということを教えてくれてはいます。ちょうど10世紀ごろ、それまでカホキアになかった種類のメイズ(トウモロコシ)が栽培されはじめ、同時に農機具の鍬(くわ)が南のメキシコの方から持ち込まれたのと、ほぼ同時に、カホキアは全盛期を迎えているのです。
Last updated: 8:27 PM 4/26/04
「Native Agriculture」カテゴリの記事
- いったいぼくたちのトーテム・フードはなにだろう?(2007.08.15)
- 「作物を育てることは幸せなこと」というホピの聖なる教え(2006.08.26)
- ホピ・ファーミング 地球に生きる人たちの農耕技術考 5(2006.02.28)
- ホピ・ファーミング 地球に生きる人たちの農耕技術考 4(2006.02.22)
- ホピ・ファーミング 地球に生きる人たちの農耕技術考 3(2006.02.17)
The comments to this entry are closed.
Comments
まじめましてLeon Vulpes(レオン・ヴァルペス)と申します。
実は今、とあるアメリカのCommunity College(地域短期大学)でCahokiaについて論文試験があるので、それに向けて勉強しているうちにここへたどり着きました。
授業中に聞いた話によりますと、Cahokiaの人々は自分で農耕を行っていたわけではないみたいです。その地域一帯の中心都市ではありましたが、食料は他の村から貿易を行い手に入れてたというのが「私の先生の見解」です。
Cahokiaは酋長制ではありましたが、他の村とは貿易のために緩やかな連邦制を作っていたようです。そして、この村ではこの作物、あの村ではあの作物という様に「役割分担」を果たしていたのではないかと思われます。
最近の説では彼らの滅亡の原因を「天候の変化に伴う農作物の減少で大人数を維持しきれなかった」、「新しい部族の興隆により合併吸収された」など色々な仮説もあります。他の部族と同じように、彼らも文字をもたず、歴史はすべて口伝えですので無理は無いですね。
【追記】
元々、かなりのおせっかい好きな性格なもんなので北山さんが少しでも不愉快に感じるようでしたらドンドン削除しちゃってください。
【追々記】
愚痴になりますけど「アメリカの歴史」という名前の授業を取ったのに、今なぜ「考古学」を学ばなければいけないのかわからんです!(笑)
別に嫌いじゃないんですけどね・・・_| ̄|○
Posted by: Leon Vulpes | Wednesday, June 23, 2004 03:03 PM
初めまして、こんにちは。
カホキアについての記事、それからその他の記事も所々拝見させていただきました。とても勉強になる、興味深い記事を本当にありがとうございます。
またこれからも訪問して、ネイティブ・アメリカンについて学ばせてください。
これからも記事、楽しみにしています。
Posted by: sayaka | Sunday, February 12, 2006 07:35 PM
Greetings from Idaho! I'm bored to death at work so I decided to browse your website on my iphlne during lunch break. I lkve the information you provide here annd can't wait to take a look whhen I get home. I'm amazed at how fast your blog loaded on mmy mobile .. I'm not even using WIFI, just 3G .. Anyhow, exceplent blog!
Posted by: free toeic practice Test exam download | Saturday, December 06, 2014 03:41 AM