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Friday, April 16, 2004

忘れていた祈りの歌

どうかあなたの内側を祈りでいっぱいにしてください
小生がほん訳した本『聖なる言の葉』のあとがきの再録

   sunprayer.jpg
    Northwestern University Library, Edward S. Curtis's
    'The North American Indian': the Photographic Images, 2001.


   たいようが のぼってくる ひがしへ
   さむさの やってくる きたへ
   ひかりの もたらされる みなみへ
   たいようが しずみゆく にしへ
   ちちなる たいようの ために
   ははなる ちきゅうの ために

     ――ローリング・サンダー(西ショショーニ国メディスンマン)

この祈りの言葉をわたしに教えてくれたローリング・サンダーは、「一日二十四時間を宗教にすることの重要性」を常に説き続けた。そこで彼が口にする「宗教」とは、特定の組織宗教を意味するものではない。彼はこう言った。「もしもおまえが古き良きインディアンの道を歩みたいのなら、毎朝夜の明ける前に起きだして、昇ってくる太陽に向かって祈るがいい。わしは一日に二十四時間祈る。生活のすべてが聖なる儀式になりうるのだ」と。ここで重要なのは「インディアンにとって祈りとはなにか」ということである。

本書『聖なる言の葉』は、彼らの――亜北極圏のアリュートから中米のマヤにいたるまでの人たちの――さまざまな「祈り」の言葉を集めて編集したもので、彼らにとって「祈り」とはなにかの一端を知ることができるようになっている。これらの言葉のなかには、これまでもネイティブ・アメリカンの「力の言葉」として紹介されたものもあるかもしれないが、それでもなお「祈りの言葉」としてあらためてその世界に身を沈めてみれば、また別のものが見えてくることだろう。

急激な近代化のなかで地球との結びつきを決定的に失ってしまったわたしたちが、もう一度母なる地球との絆を回復するためには、「さまざまな祈りでわたしたちの内側を満たす努力をする必要」がある。なるほどあらゆる組織宗教が独自の祈りの言葉を持っていて、それらの言葉は意味がわかろうとわかるまいとある目的のために唱えられてきたし、唱えられているが、そうした特別な時と場所のための他人まかせの祈りの多くが、今ではわたしたちの意識をある枠組みのなかに押し止める目的で利用されていて、そこを越えて自由に働かせるようにはなっていないのが現実である。

もちろん組織宗教に応分の敬意を払う必要は認めるにしても、わたしたちは組織宗教の呪縛を解き放ち、それぞれが「母なる地球に生を受けた存在としてのいのち」として、わたしたちを取り巻いているこの世界においてほんとうに大切なものはなにかということを自分の内側に耳を傾け、それぞれのハートのあたえてくる導きにしたがうようになったほうがよいとわたしは信じる。

その人が一日二十四時間を宗教として、たくさんの祈りで内側をいっぱいにして生きていくなら、その導きは、いろいろな形で与えられてくるだろう。眠っている時に夢でやってくるかもしれないし、静かなところで独りぼっちでいる時に突然口をついて言葉になってやってくるかもしれない。あるいは友人や縁者や長老の言葉としてもたらされることもあるだろう。

「地球に生きるものにとって祈りとはなにか」を知っていく作業は、おそらく永遠に続く巡礼の旅のようなものなのかもしれない。三十三ヶ所や、八十八ヶ所のチェックポイントを巡れば終わりとなるものではなく、それはさらにさらにどこまでも続いていく。すべての旅がそうであるように、旅には行動的に動く時と、ゆっくりと体を休める時が同じように必要であるだろう。

願わくは、あなたの新しく踏み出す一歩が、美と、真実と、愛と、智恵と、正義にむかうものであらんことを。そして本書がそのあなたの終わりなき旅の道連れとしての役割を、じゅうぶんに果たしますように。


Beadline.jpg

 あなたのハートを美しくする魔法の歌
聖なる言の葉 ネイティブ・アメリカンに伝えられた祈りと願い
スタン・パディラ 編・画  北山耕平 訳
相馬章宏(コンコルド・グラフィックス)装丁
定価1680円(本体1600円) ISBN4-12-390065-8

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