ミタクエ・オヤシン
先日朝日新聞のコラムに「ミタケ・オヤシン」という言葉が掲載された。ラコタ(スー)の言葉なら「Mitakuye Oyasin」とアルファベットで表記され、「ミタクエ・オヤシン」とも聞こえるものだ。英語では「All My Relations」とか「We Are All Related」と翻訳されている。「すべてのわたしにつながるものたちよ」もしくは「わたしたちはみんなつながっている」と訳すことが可能である。
ラコタの人たちがすべての儀式のはじまるときと終るときにこのフレーズを口にする。朝日新聞の記事では、人間の行為について書かれるなかでこの言葉が使われていた。日本の政府関係者のすることがイラク情勢に影響を与えるというように。しかし、正しく言うなら、その言葉は人間の世界にとどまらない広がりを持っているのである。あらゆるインディアン文化の根底にある基本的な考え方は「この世界(自然界)にあるありとあらゆるすべてのものは全部がつながっている」というものである。世界認識の仕方で言うなら、エコロジーが一番近いのではないかと思う。
異なる部族の人たちなら「われわれは偉大ないのちの輪のなかでみんなつながっている」というかもしれない。ここでいう「われわれ」のなかには「人」も「植物」も「動物」も「鉱物」もすべてふくまれている。「鉱物にすらいのちがある」と彼らは見ている。そうでなければ誰が地球は生きているなどということが得心できるだろうか?
世界を構成しているありとあらゆるものがどのようにつながりあっているかを学びなおし、そのつながりあっているいのちの輪がより壊れにくい、しっかりとしたものになるような生き方をしはじめるのに、遅すぎるということはない。いのちのつながりを学び、自分がいのちの輪の一部にいることを人間に気がつかせるためにもっとも重要で、かつ太古から伝わってきているのが「農」であるとわたしは信ずるものである。「農」とは自分が口にするものを自分の手で育てる行為をここでは言う。
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