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Saturday, March 27, 2004

せかいでいちばんつよいのは(物語)

  ズニ一族に伝わるお話
  
  再話 北山耕平
  
  
  むかしむかしの せかいがまだわかかったころの はなしで
  す。
  
  あめがふりつづいていました。
  
  いっぴきのちいさなあかいいろをしたアリさんが、じめんにあ
  いたあなからそとへでてきました。じめんにはふゆのゆきがま
  だすこしのこっています。あしのさきがこおるような つめた
  いゆきでした。ありさんが いいました。
  
  「ねえ、ゆきくん、きみばぼくよりもつよいんだね。ひょっと
  してせかいでいちばんつよいのはきみかい?」
  
  ゆきは こたえました。
  
  「とんでもない。ぼくよりつよいのはたいようさんだよ。たい
  ようさんがてりつけたら、ぼくなんてとけちゃうもの」
  
  ちいさなあかアリさんは、たいようのところへいきました。

  
  「たいようさん、あなたはゆきくんよりもつよいんですって
  ね。ひょっとしてせかいでいちばんつよいのですか?」
  
  「いいや、ちがうね」と、たいようが こたえました。「わた
  しよりつよいものがいるからな。それはかぜくんだ。いくらわ
  たしがてりつけても、かぜくんは わたしのかおのまえに く
  もをふきつけて、たちどころに くもらせてしまうからな」
  
  ちいさなあかアリさんは、つぎにかぜのところにいきました。
  
  「かぜさん、あなたはたいようさんよりもつよいんですね。
  ひょつとしてせかいでいちばんつよいのはあなたですか?」
  
  「いやいや」と、かぜさんがこたえました。「わたしはせかい
  でいちばんつよいものではない。わたしよりつよいのは、いえ
  だ。いくらふいても、わたしにはてもあしもでない。いえは、
  つよいんだぞ」
  
  「ふーん」
  
  ちいさなあかアリさんは、いえのところにいきました。
  
  「いえさん、あなたはかぜさんよりもつよいのですってね。
  きっとあなたが、せかいでいちばんつよいのですね?」
  
  するといえがこたえました。
  
  「ざんねんだがわたしよりもつよいものがいる。ネズミだ。ネ
  ズミはわたしのからだにあなをあけていのちをうばってしま
  う」
  
  ちいさなあかアリさんは、ネズミのところへいきました。
  
  「ネズミくん、いえよりもつよいきみこそがせかいでいちばん
  つよいんだね?」
  
  「とんでもない! ぼくよりもネコのほうがつよいぜ。ほくな
  んかあいつからにげまわるのがやっとさ」
  
  ちいさなあかアリさんは、こんどはネコのところへいきまし
  た。
  
  「ネコさん、あなたがせかいでいちばんつよいんでしょう?」
  
  「わたしが? とんでもない。わたしよりぼうのほうがつよい
  わ。だってぼうでなぐられたら、あたしなんてしんじゃうも
  の」
  
  ちいさなあかアリさんは、ぼうのところへいきました。
  
  「ぼうくん、きみはネコよりつよいんだから、きみがせかいで
  いちばんつよいことになるね」
  
  「そんなことはないよ」とぼうがこたえました。「ぼくよりも
  ひのほうがだんぜんつよい。ぼくなんか、ひのなかになげこま
  れたら、ひとたまりもないさ」
  
  ちいさなあかアリさんは、ひのところへいきました。
  
  「ひさん、あなたはぼうよりもつよい。それならせかいいちつ
  よいのはあなたですね?」
  
  「ちがうよ。わたしよりもみずのほうがつよい。わたしなんか
  みずをかけられただけできえてしまうもの」
  
  ちいさなあかアリさんは みずのところへいきました。
  
  「みずさん、あなたはひよりもつよいのだから、せかいでいち
  ばんつよいのでしょう?」
  
  「それが、わしよりもウシのほうがつよいんだな。わしなぞは
  ウシにひといきにのみこまれてしまうから」
  
  ちいさなあかアリさんは、ウシのところへいきました。
  
  「ウシさん、みずよりもつよいあなたは、きっとせかいいちつ
  よいんですよね?」
  
  「ノー。いしのナイフのほうが、わたしなんかよりはるかにつ
  よい。いしのナイフは、わたしのしんぞうをきりさいてしまう
  んだ」
  
  ちいさなあかアリさんは、こんどはいしのナイフのところにい
  きました。
  
  「いしのナイフさん、ウシよりもつよいあなたこそ、せかいい
  ちつよいのですね?」
  
  するといしのナイフはこたえました。
  
  「いやいや、こっちがあしもとにもおよばないほどつよいの
  は、おおきないわのかたまりさ。わたしなんかおおいわになげ
  つけられただけて、ぼろぼろはがこぼれてしまうほどだ」
  
  これはむかしむかしに、じっさいにおこったはなしです。だか
  らいまでもインディアンのひとたちは、おおきないわをせかい
  でいちばんつよいものだとしんじて、おそれているのです。

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