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Friday, March 26, 2004

オオカミはアオサギをしんじない(物語)

  アルゴンキン一族につたわるおはなし
  
  再話 北山耕平
  
  せのたかいアオサギがいちわ、さっきからぬまちのなかにたっ
  て、みずにうつるじぶんのすがたを ながめていました。くろ
  ぐろとしたかみかざりをたかくあげて かれはみみをそばだて
  ています。
  
  ちいさなにひきのイタチが かわべりまでやってきました。は
  はとこの しろいイタチです。おとこのこのイタチが おかあ
  さんイタチに いいました。
  
  「なんてきれいなはねをもつヒトなんだろう!」
  
  「あのヒトはアオサギというのよ。たかいたかいところに、あ
  たまがあるの」
  
  「そうなんだ。あのヒトは まるでおおきなきみたいに、せが
  たかいんだね、おかあさん。ぼくがあのヒトぐらいせがたかけ
  れば、これぐらいながれなきゅうなかわでも、かんたんにおか
  あさんを むこうぎしまで ぬれずにはこんであげれるのに」
  
  アオサギはじぶんがほめられるのをきくのがだいすきです。と
  くに、じぶんのことをおおきいといわれるとうれしくてたまり
  ません。
  

  たかいところからみをかがめて、アオサギはイタチのおやこに
  はなしかけました。
  
  「かわをわたるのなら、ちからになりましょう。すこしいった
  ところに、ながされたおおきなきが かわからつきだしている
  ところがあります。そのきのさきのところまできてくれたら、
  つぎは わたしがかわのなかによこたわり、このながいくちば
  しをむこうぎしまでとどくようにします。そのりゅうぼくをつ
  たい、わたしのからだをはしとしてつかってもらえれば、あな
  たたちは ぬれずにむこうぎしにわたれるでしょう」
  
  さんにんはいっしょに、かわをはんぶんふさぐようにたおれた
  ままになっている、そのふるいたいぼくのところまできまし
  た。アオサギはかわのなかによこになると、ながいくちばしを
  つきあげて、 むこうぎしにつきさしました。
  
  しろイタチのおやこはかろやかにはしって、おおきなきと、ア
  オサギのからだをつたって むこうぎしにわたりました。ふた
  りはアオサギにおれいをいい、これからはもりのなかにくらす
  すべてのヒトたちに アオサギのすばらしさをつたえるから 
  と いって もりのなかにすがたをけしました。
  
  このこうけいをかわのどてのうえからずっとみていたのがオオ
  カミじいさんです。
  
  「なるほど、うまいことするもんじゃないか。ああやってかわ
  をわたるほうほうがあるのか。もうむりをすることはないんだ
  な。わしはとしよりだし、ほねのふしぶしがいたむしな」
  
  さっきのアオサギが ぬまちにもどってきたので、オオカミじ
  いさんは こえをかけました。
  
  「おいそこのわかいの。わしはアオサギがなんでぬまちにいる
  のかやっとわかったぞ。かわをわたるヒトたちのはしのやくめ
  をするためだったのだな。ちょうどわしもむこうにわたりたい
  のだが、こっちはとしよりだし、ほねがギシギシしてなんぎな
  んだ。ひとつみずのなかによこになって、このわしをわたらせ
  てくれんか」
  
  アオサギは、はなしをきいているうちにはらがたってきまし
  た。「はし」なんていわれると、よけいにあたまにちがのぼり
  ます。
  
  オオカミじいさんは、じぶんがばかなことをいってしまったこ
  とにきがつきました。そのばをとりつくろうために、あわてて
  おいしいことばをならべたてます。
  
  「よ、アオサギさん! おまえさんはおおきいし、つよいから
  な。そのすばらしいからだ! いいねえ。これぞはしのやくめ
  をするのにはうってつけってもんだ。そのからだつきなら、こ
  のわしなんか、はねのようにかるがると、むこうぎしにはこべ
  たりするのじゃろな」
  
  アオサギはそのことばをきくと にっこりとほほえんで オオ
  カミじいさんにいいました。
  
  「おじいさん、わたしのせなかにのってください。むこうぎし
  までおわたししますよ」
  
  しめしめ、アオサギとはなんてだまされやすいやつなんだと、
  こころのなかでしたなめずりをしながら、オオカミじいさんも
   にんまりと わらいました。
  
  オオカミがせなかにとびのるやいなや、アオサギはだだだだっ
  とはげしいかわのながれのなかにかけこみました。そしてかわ
  のなかほどまできて、いきなりたちどまったのです。
  
  「おきゃくさん」とアオサギがいいました。「ごめんなさい
  な。わたしのからだはそれほどつよくはなかったみたいなんで
  すよお。かわをぜんぶわたるにはもうひとりアオサギがひつよ
  うです。わたしがはこべるのはここまでがげんかい。のこりの
  はんぶんをわたらせてくれるべつのアオサギを、ここでつかま
  えてください」
  
  そういうがはやいか、アオサギはぜんしんをおおきくひとひね
  りして せなかのオオカミをかわのなかにふりおとしました。
  
  「えーと、そこでしばらくおまちくださいね。じきにべつのア
  オサギがきますから」
  
  そういうとアオサギは、はねをひろげでそらにまいあがり、さ
  きほどのぬまちにもどってしまいました。
  
  かわのながれはとてもきゅうです。それにべつのアオサギなん
  でどこにもいません。かわいそうにオオカミじいさんは、その
  ままかわのそこにブクブクブクとしずんでいきました。
  
  そんなことがあっていらい、オオカミはアオサギのことをまっ
  たくしんようしなくなったのだそうです。

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